高梁の田中さん 全員無事願い走る 69歳 最高齢メディカルランナー

おかやまマラソンに向けて走り込みを重ねる田中さん

 岡山市で3年ぶりに開かれる「おかやまマラソン2022」(13日)に、元看護師の田中さい子さん(69)=高梁市=が最高齢のメディカルランナーとして出走する。大会を支える側としては、これが最後のレース。「自分のタイムよりも全員が無事にゴールすることを願いながら走る」と節目の岡山路を心待ちにする。

 医師や救急救命士などの有資格者が務めるメディカルランナー(26人)はコースを走りながら負傷者や急病人の応急手当てを行う。田中さんは市内の病院などで45年の看護師歴があり、2018年の大会にも参加した。現在も、自宅近くの里山の風景を楽しみながら10キロ以上走るのが日課で、フルマラソンは4時間40分ほどで完走するという。

 マラソンを始めたのは還暦を過ぎてから。第1回大会(15年)で知人の応援に駆けつけた際、高齢者や障害者がゴールに飛び込む姿に心を揺さぶられた。自身も40代の頃、乳がんに侵された経験があるだけに「走ることで周りに感動を与えたい」との思いが膨らんだ。

 長男は、倉敷高から進んだ駒大で箱根駅伝4連覇を成し遂げた宏樹さん(39)。田中さんも子どもの頃から走るのが得意だった上、宏樹さんの小中学生時代には毎日のように練習に付き添ったことが今に生きている。

 闘病中、宏樹さんの活躍に何度も勇気をもらった。18年のおかやまマラソンでは、びっしり埋まった沿道からの声援に背中を押された。「みんなに支えられた分、恩返しをしたい。出番がないのが一番だけど」と号砲を待つ。

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