街中のパブリックアートをデータベース化「西日本の作品は特に募集」一般からの情報提供大歓迎

道ばたや公園などの公共空間に設置されたアート作品「パブリックアート」の所在地や作品名を一覧にしたデータベース「Public Art Database(β)」がネット上で公開されている。約10年間をかけ日本各地の作品2300点以上を収集した。運営者は「自分たちで完璧にしようとは思っていない」と作品の情報提供を呼びかける。

パブリックアート作品紹介サイト「@ART」内で今年6月に公開したデータベースで、現在は2300点の作品情報を掲載中。掲載準備中のものも含めると約2500作品を扱い、所在地や作品名、作家名、設置年、素材などの情報をまとめている。

「@ART」を運営する平井健一郎さんによると、パブリックアート作者の中には美術館などの展示に入場希望者が殺到するような有名アーティストもいるという。平井さんは「美術館でお金を払って見るような作品が日常の中で見られるということがもう少し知られたらいいのに」と、2012年にサイトを立ち上げ、パブリックアート情報を発信してきた。

データベースに掲載するパブリックアートは(1)誰もがアクセスできる場所に設置されていること、(2)期間限定ではなく半永久的に残ることなどを基準に、「美術に関心がない人でも思わず視界に入る作品」をおおまかな定義としている。主に彫刻や壁画が対象で、掲載情報は作品の銘板に書かれた内容を参考にする。

これまでに集めた約2500件(掲載準備中のものを含める)の情報の内訳は、平井さんらサイト運営メンバーが約10年間で足を運んで記録したものが約1500件、パブリックアートを制作する団体や地方の芸術祭運営団体から情報を得たものが約800件。その他は一般からサイトの問い合わせフォームに寄せられた。

データベースには草間彌生、奈良美智、荒川修作ら著名作家が登場する一方で、「画像募集中」となっている作品や作家名が「不明」と掲載されているものもある。平井さんは「データベースを完璧に作り込むことは考えていない」と話し、一般ユーザーからの情報提供によって内容を充実させる参加型プロジェクトになることを期待する。

サイト運営メンバー全員が関東在住であることから、他地域の情報は不足しやすい。平井さんは「ツイッターでは『釧路の作品がない』とか(コメントがあった)。西日本にも調べれば各駅に彫刻があったり、いろいろな広場にもあると思うんですが物理的に機会が少ないので、西日本エリアの作品は特に強く募集しています」と情報提供を呼びかけた。

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(よろず~ニュース・今井 佳奈)

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