ハピキャン読者の皆さんは、ガソリン仕様のツーバーナーを使っていますか? 僕は35年ほど前に使っていたのですが一度離れ、またガソリンツーバーナーに戻ってきました。その理由は本記事のメリット・デメリットの部分でご説明します。今回はコールマンのツーバーナーを愛用しているキャンプ歴40年の筆者が思う、ツーバーナーのメリット・デメリット、そしてメンテナンス方法を解説します。
キャンプなどのアウトドアで使うバーナーの種類
バーナーにはシングルバーナーとツーバーナーがあります。これは火口がいくつあるかと言うこと。シングルバーナーは一口、ツーバーナーは二口のものを指します。
シングルバーナーは比較的コンパクトなのでソロやツーリングで使われることが多く、ツーバーナーはファミリーなどの大人数でのキャンプで使用されることが多いです。
それではまずは、キャンプ歴40年の筆者が持っているバーナーをひとつひとつ紹介していきましょう。
写真のシングルバーナーは、OD缶を使用するPRIMUS(プリムス)の『P-153』です。
非常にコンパクトで着火も簡単。コッヘルにガス缶と一緒に収納できるので、ツーリングやカヤック、山歩きなどで常に持ち歩いている旅のパートナーです。
写真右側のシングルバーナーは、プリムスのP-153を手に入れる前、35程年前から使っているColeman(コールマン)の『スポーツスター』です。
この頃のスポーツスターは火力調整ができたのですが、いつ頃からか、その機能はなくなってしまいました。
ホワイトガソリンを使用するのですが、遠赤ヒーターアタッチメントを乗せると暖房にもなる優れものでバイクツーリング用に購入しました。ただ、大きくて重いのでプリムスのP-153を手に入れてからは仕舞い込んでいます。
この写真はおなじみカセットコンロ、イワタニカセットフーの『エコジュニア』です。
僕はキャンピングカーに常備しているのですが、特徴はとにかくコンパクトで収納に困らないこと。
しかも火が内側に向かって燃えている「内炎式」を採用しており、ガスの消費量を16%抑えられる省エネコンロなのです。外炎式は同じ火力でも外に熱が逃げてしまいますが、これは内側に熱を溜めるので効率が良いのです。
キャンピングカー乗りにとってはそれ以外にも、室内に熱がこもりにくいという利点もあります。
2010年~2015年までの5年間しか作られなかった様ですが、今は無印良品で同じものが販売されています。しかもイワタニ時代にはなかった専用ケースまで販売されている人気ぶり。
写真のツーバーナーは、ファミリーーキャンプに行くようになってから購入したCB缶用のツーバーナー、イワタニ『CB-7E-M07』です。
非常に薄くコンパクトで簡単に使用できるので、今でも庭キャンや暖かい時期の軽装キャンプで活躍してくれています。
そしてこれが今回の主役、Coleman(コールマン)のホワイトガソリンを使用するツーバーナーです。昔はこのツーバーナーしか選択肢がなかったので、一択でした。
キャンプギアもだんだんといろんな種類が出てきていつしか使わなくなってしまったのですが、今はこれがキッチンの主役。
ここからは、「キャンプ歴40年の僕がなぜコールマンのツーバーナーを使わなくなったのか? そしてなぜまた主役に返り咲いたのか?」がわかる、ガソリンツーバーナーのメリット・デメリットを紹介させていただきます。
ガソリンツーバーナーのデメリット
まずはガソリンツーバーナーのデメリットから解説します。
【ガソリンツーバーナーのデメリット】
- 重い
- 大きい
- 着火が面倒
- ホワイトガソリンが高い
- 臭い
- 調理器具に黒いススが付く
- 火力が安定しない
- 別々に使えない
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こうやって挙げてみると、散々ですね~。
個人的に特に使わなくなってしまった一番の理由は、ちょっと湯を沸かすだけでもポンピングしなければならないこと、そして、すぐに安定した火力が得られないことです。
二番目の理由は、ツーバーナーなのに別々に使用することができないことです。
これは実際に使っている人でないとわからないことだと思いますが、右のバーナーがメイン、左のバーナーはサブ。メインバーナーが燃えていないとサブバーナーが使えないのです。
右のメインバーナーはタンクについているコックを回すとガスが送られます。
この送られたガスで右のバーナーにガスが送られるのですが、そのガスを左側面のコックを回してサブバーナーに流し、火を点けるのです。
さらに、メインの火力を弱くするとサブの火力も弱くなり、サブを点けるとメインの火力が弱くなる。。。
ということで、筆者は「二口あっても別々には使えない」という不便さから、使わなくなってしまったんです。
そんな一見デメリットばかりに見えるガソリンツーバーナーですが、なぜまた使うようになったのでしょう?いよいよ、そのメリットをご紹介していきます!
ガソリンツーバーナーのメリット
【ガソリンツーバーナーのメリット】
- 厳しい環境下でも使える
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最大のメリットがこれなんです!
ガソリンツーバーナーをまた使うようになったのは冬キャンプをするようになったからです。
冬キャンプは気温が低いのですが、そんな環境下ではCB缶やOD缶のバーナーだと火力が弱くなったり火が出なくなって調理ができないことがありました。
寒い冬に暖かい食べ物が食べられないというのは絶望的な状況だということはキャンパーならおわかりかと思います。筆者も「二度と冬キャンプなんてしない!」と思ったものでした。
CB缶やOD缶は、気温が低かったり長時間使用し続けると、ドロップダウンにより火力が弱くなったり火が消えてしまったりすることも。
具体的には、気温10度程度で火力が弱くなり、使い続けると缶が凍ってガスが出なくなってしまうんです。氷点下では水を沸騰させるのにも困ることになります(低温時でも使用できるプロパンの含有量が多い商品もありますし、ブースーターと言うバーナーの熱を缶に戻して暖める仕組みが付いているバーナーもあります。)。
一方、ホワイトガソリンの引火温度は-40度です。
これだけ気温が低くても火を点けることができれば、日本中いつでもどこでも火を使うことが可能と言っても過言ではありませんね。
この「いつでもどこでも」というのが僕にとって非常に重要で、この一点だけでも、ホワイトガソリンのツーバーナーを復活させるには充分な理由になりました。
ガソリンツーバーナーの使い方
ガソリンツーバーナーは、カセットガス式のバーナーより点火が面倒です。
でも、その面倒も「儀式」だと思って点火させれば苦にならないことを最近学びました。
ここではその儀式の方法をご紹介します。
① タンクを取り出す
まずケースからタンクを取り出し、燃料が入っているか確認します。
燃料は満タンに入れてしまうとタンクに圧力をかけることができなくなってしまいますので、半分から7割位に抑えておきましょう。
② ポンピング
写真、赤矢印の部分のポンプノブを引き出し、100回程ポンピングします。
このとき、真ん中の穴を指の腹で塞ぎながらポンピングをしないと圧力をかけることができませんので注意してください。
③ タンクのセット
ジェネレーターを赤矢印の部分に差し込み、タンクをセットします。
④ 点火
点火の際にガスを濃くするため、点火レバーを上に回します。
燃料バルブを一杯に回してガスを出し、マッチやライターなどで点火してください。
点火して火が安定したら点火レバーを下に回し、火力が安定したら燃料バルブを回して火力を調整しましょう。
メインバーナーに点火した時は、一時的に大きな炎が上がります。これは濃いガソリンが噴射しているためですが、ジェネレーターが熱せられて気化が進めば、赤かった炎は青く勢いがよくなってきます。
⑤ サブバーナー点火
左側面のサブバーナー用燃料バルブを回してガスを出し、マッチやライターなどで点火します。
このとき、メインバーナーの火力が安定するまで待ってからサブバーナーの燃料バルブを開けましょう。
これが点火の一連の儀式です。
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特に暑い日に100回もポンピングしていると「面倒だな~」と思いますが、これも儀式なんだと思って神聖な気持ちで心をこめて行いましょう(^-^)
ガソリンツーバーナーのメンテナンス方法
コールマンの商品は非常に耐久性が高く、ほとんどメンテナンスをしなくても調子が悪くなることは今までありませんでした。コールマンに対して僕が絶大な信頼を置いている理由がこれです。
ただ、僕のツーバーナーは60年前のもので、流石にちょっと、ということで、メンテナンスをすることにしました。
ガソリンツーバーナーのメンテナンス箇所とその方法を紹介したいと思います。
ポンプの点検・清掃・交換
ツーバーナーで一番調子が悪くなりがちなのは、燃料タンクに圧力をかけるポンプです。
ここが悪くなるとタンク内に圧力がかからなくなり、燃料が噴射しなくなります。
ポンピングした時にスカスカと手ごたえがない場合、ポンププランジャーの先端の穴を塞いでポンピングしているか確認してください。ここから空気が抜けてしまうと圧がかからなくなってしまいます。
また、ポンププランジャーの先端のポンプカップが乾燥していると空気が抜けてしまうので、ノブの元のキャップにある「OIL」と書かれた横にある穴に「LUBRICANT(リュブリカント)」と言うポンプカップ専用の特殊オイルを数滴注入し、圧力がかかるか確認してみて下さい。
その上でポンピングしても圧がかからない時は、ポンプカップの破損を疑います。
ポンププランジャーの根元にあるクリップをペンチで外すとプランジャーを外すことができます。
最近のものは元の黒いプラスチックの部分を回すと外すことができます。
これがポンプカップ。60年前のツーバーナーには革製のカップが付いています。
このカップが乾いていたり、割れや破損があれば交換しますが、僕のカップはまだ大丈夫そうです。
ポンプカップには革製とゴム製があります。昔はみんな革製だったのですが今のものはゴム製になっているようです。
今でも革製のポンプカップはコールマンで販売しています。好きな方を使えばよいのですが、僕が交換する時には革製を選んでいます。
革製は非常に耐久性が高く、50~60年前でも普通に使えます。しかし使っているうちに毛羽だってきて革のカスが逆流防止弁の目詰まりを起こすという欠点も。さらに、材質が革なので、質・厚さ・形状などの個体差が大きいといった欠点もありますが、革はリュブリカントを多く含むので、メンテナンスの頻度はゴムに比べて激減します。
ゴム製は20年も使うとゴムが硬化し縮んできますので革よりは耐久性に劣ります(20年も使えれば充分ですが)。
ゴムなので製造誤差は少なく、筒内の摩耗も少なく軽くポンピングすることができるのはメリットですね。ただ、ゴムはリュブリカントを吸収することがなく筒内のリュブリカントを拭い取ってしまうので、頻繁に注入する必要があります。
ニードルの点検・交換
次に気をつけれなければならないのは、ニードルです。
燃料バルブを回してこのニードルを前後させ噴射量をコントロールするのですが、これが磨耗していたり折れ曲がっていると、火力が安定しないどころか消火することもできなくなる、肝の部品です。
燃料バルブをしっかり閉めてポンピングして、ここから燃料が漏れる音がしないかチェックしましょう。
しっかりと穴がふさがっていれば燃料が漏れる音はしないはずです。もし「シュー」っと音がするようなら、ガスが漏れているため交換になります。
タンクに圧力を加えて他にも耳をすまして音がしないかチェックしてみましょう。
増し締めするか部品を交換することで、ツーバーナーはまた充分な働きをしてくてるはずです。
結論:「コールマンのツーバーナーしか勝たん!」
我が家のコールマンのガソリンツーバーナーは60年前のものです。
色や形、細かな部品は変わりましたが、基本的な構造や部品は今も昔もまったく変わっていません。
もし調子が悪くなったり壊れたとしても、交換部品は容易に手に入り、また使い続けることができます。
これは凄いことです。
1960年以前の自動車の部品で、今でも新品で手に入るものはないでしょう。
これは60年前に完成され、今現在でも通用する商品だということに他なりません。
寒さに強く、火力が強く、メンテナンスすれば長持ちし、壊れたとしてもすぐに治せるコールマンのガソリンツーバーナーは、一度手に入れれば一生モノ。
多少大きくて重かったり、使うのが面倒だったりしても、僕は信頼できる相棒として、死ぬまで使い続けると思います。