地域の特産品目指す 龍神でジネンジョの収穫始まる 

長さ約1.4メートルの今季最大級というジネンジョを持つ鈴木直孝さん(和歌山県田辺市龍神村福井で)

 和歌山県田辺市龍神村福井の農業、鈴木直孝さん(75)は、自宅近くの畑(約10アール)で栽培しているジネンジョの収穫を始めた。今年は昨年よりも生育が良好で、約300本の出荷を見込んでいる。

 龍神村ではかつて、ジネンジョを栽培する農家が多かったが、近年は減っている。鈴木さんは、知人から種芋をもらったことをきっかけに、龍神村の特産品にならないかと数年前から栽培を始めた。

 ジネンジョを栽培した経験はなく、最初は約1アールの畑から試験的に始めた。土中の湿気対策として畝を高くしたり、米ぬかやもみ殻、山にある良質の赤土を入れて土作りをしたりして、改善を重ねながら畑を徐々に広げてきた。

 ジネンジョは、畝の中に長さ約1.3メートル、直径約7センチのパイプを寝かせるようにして並べて、その端に種芋を入れて土をかぶせて育てる。こうすることで、パイプの中で形の良い真っすぐなジネンジョが育つという。だが、水分が多いと腐ったり、途中で枝分かれしたりする原因となるため、水はけなどには一番気を配っているという。

 今年は、5月に種芋を500個植えて、10月中旬から収穫を始めた。畝からパイプを掘り出し、パイプの中で育ったジネンジョを取り出して、数日間陰干しする。長さは平均1メートルほどで、中には1.4メートルまで育ったものもあった。収穫は今月いっぱいは続く見通し。

 鈴木さんは「大変だけど、掘り出して立派に育ったジネンジョが出た瞬間が一番楽しい。龍神村のジネンジョは徐々に認知度が高くなり、贈答用としても人気がある。特産品になるように、今後も栽培を続けていきたい」と話している。

 収穫したジネンジョは「じねんじょ 龍のひげ」と名付けて、ヒノキの葉を添えて道の駅などに出荷しているほか、竹を縦に半分に割って節を除いたものに入れたジネンジョも贈答用として販売している。郵送にも対応している。問い合わせは鈴木さん(0739.77.0025)へ。

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