「新幹線で来るのもいいが、ちょっとスローな旅を楽しんで」全国旅行支援を追い風に伊豆の人気温泉街が繰り出す“次の一手”

全国旅行支援が始まって3週間あまりが経過。静岡県内の観光地には観光客が戻りつつあります。関東圏からの観光客が多い修善寺温泉(静岡県伊豆市)では、この追い風をチャンスに「ポストコロナ」を見据えた新たな取り組みを始めています。

創業150年を迎えた修善寺の老舗「新井旅館」。平日のこの日も、多くの宿泊客が訪れていました。

<新井旅館 森孝夫総支配人>

「全国支援割り引きが始まって、予約を多数ちょうだいしています」

修善寺温泉では、観光庁の補助金を活用し、地域一体となって取り組みを始めました。東京などと修善寺を結ぶバス。今年9月から運行を始め、土日は満席になるほど人気だといいます。支持される理由は…。

<修善寺温泉旅館協同組合 森孝夫理事長>

「片道1500円で乗れる非常にゆったりとしたバス」

新幹線のおよそ3分の1の交通費で修善寺に来ることができます。関東圏からの観光客を取り戻す狙いです。

<修善寺温泉旅館協同組合 森孝夫理事長>

「伊豆半島は関東からのお客様が1番多いですので、新幹線で早く来られるのもいいですけど、ちょっとスローな旅を楽しんでいただく」

修善寺に到着してからのサービスも充実しています。

<中西結香記者>

「45%オフのサービスを利用して、修善寺を案内してみます」

伊豆箱根交通では、タクシーを時間制で利用すると通常のおよそ半額で乗ることができます。

<伊豆箱根交通 修善寺営業所 村田陽一班長乗務員>

「火山岩による段々になった滝になっていて…」

観光名所を乗務員に案内してもらえるのもタクシーならではの良さです。10月から始まったばかりのサービスですが、すでに160件もの利用があったということです。

<伊豆箱根交通 杉崎和生運行営業部次長>

「10月1日からこの事業を始めまして、全国旅行支援の開始とちょうど相まってたくさんのご利用者さんが訪れています」

温泉街を散策する観光客のため、10月から音声ガイドサービスも始めました。

<三島信用金庫 坂本剛宏地域未来創造課主任>

「今は修禅寺のお寺にいます。画面上でいうと、青いピンが立っているこちらにいる形になっています」

<音声ガイド>

「今、皆さんがお手を合わせてお参りしたご本堂様は大日如来です」

独鈷の湯や竹林の小径など観光名所や店舗など57か所が登録されていて、その場所に到着するとスマートフォンから音声ガイドが流れる仕組みです。

<修善寺温泉旅館協同組合 森孝夫理事長>

「2年後、3年後には修善寺温泉が、より観光客に利用しやすい温泉地になるんじゃないかと思っている」

長引くコロナ禍で影響を受ける観光業界ですが、地域内の一体感を大切にしながら先を見据えた動きを加速させています。

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