フィリピンダブルの高校生の苦しみと怒り そして母親の愛を描く 「世界は僕らに気づかない」公開日決定

芸能事務所のレプロエンタテインメントが主催する映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」で、グランプリを受賞した企画の映画化作「世界は僕らに気づかない」の劇場公開日が2023年1月13日に決まり、予告編とポスタービジュアルが公開された。

「世界は僕らに気づかない」は、フィリピンと日本のダブルでゲイの高校生・純悟が、母や恋人との関係を通して、心の底から渇望していた愛に出会うまでの物語。トランスジェンダーである飯塚花笑監督自身の経験をもとに、8年の構想期間をへて、家族・恋愛・進路など思春期ならではの不安定な感情を描き上げた。主人公・純悟役を「東京リベンジャーズ」でパーちん役を演じた堀家一希が務める。母親・レイナを演じるのは、本格的な演技は初挑戦となる、スコットランド人の父親とフィリピン人の母親を持つガウ。

予告編では、出勤前の支度をするフィリピンパブ嬢の母・レイナの様子をカメラに収める息子・純悟の姿と、「子供は親を選べない。親も子供を選ぶことはできない」という純悟のナレーションで始まる。「ジャッピーノ。僕らのようなフィリピンハーフの子をそう呼ぶらしい」「だって俺フィリピン人で、フィリピンパブ嬢の子なんで」と自身の境遇を嘆く純悟のセリフが続き、さらに恋人から決別宣言をされたり、母親が再婚相手としていきなり知らない男を家に連れてきたり、かつて「カマちゃん」と自身がゲイであることを理由にいじめをしていた同級生と出くわしてしまったりと、純悟を取り巻く苦々しい環境がつまびらかにされる。純悟の苦しみと怒りが描き出された予告編となっている。

ポスターは、フィリピン人の母親・レイナと、フィリピンダブルの息子・純悟が真横を向き遠くを見つめるショットに、日本語タイトルと英語題の「Angry Son」が大きく描き出され、「世界で一番嫌いな人 世界で一番愛する人」のコピーが添えられている。

監督・キャストのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■堀家一希/渡辺純悟役
この映画の見どころはやはり、親子の愛です。
今まで気付けなかった、向き合えなかった愛に気づき、これから少しずつでも向き合えるようそっと背中を一押ししてくれる、そんな作品になっていると思います。
是非、『世界は僕らに気づかない』、お楽しみください!

■ガウ/渡辺レイナ役
映画のタイトル通りジェンダーや国籍または宗教、文化の間に挟まれて世界に気づかれず、理解されず苦しんでいる人々が多くいると思います。主人公の純悟やその周りの人達はその一例でしかないのですが、この映画を通して少しでも多くの人に知ってもらい考えてもらえるきっかけになれたらいいなと思います。きっとそこから認め合うことが始まり自由で平和な暮らしが出来ると私は思っています。どうぞ心で観て下さい!

■飯塚花笑/脚本・監督
この世界の片隅で、ある種の生きづらさを抱える人たちの存在がどうしても気になってしまう。おそらくトランスジェンダーである自分自身のアイデンティティがそうさせて来たのだろう。今回の映画の主人公は、フィリピン人の母と日本人の父親を持つ青年だ。意外にも知られていないがこの国には、出稼ぎでやって来た沢山のフィリピン人女性が、日常に溶け込んで暮らしている。そしてその子どもたちもまた、この国の中で暮らしている。この映画で描くのは、異なる文化を持った母親への息子の眼差しであり、“愛の問題”についての物語である。この映画を観て、身近にあった愛に気づく人がいるならば・・・私はとても幸せに思います。

【作品情報】
世界は僕らに気づかない
2023年1月13日(金)新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
配給:Atemo
©「世界は僕らに気づかない」製作委員会

© 合同会社シングルライン