「肺炎球菌」での死亡者減らしたい 長崎大、研究費確保へCF

「肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発」に取り組む加藤助教(右)ら=長崎大坂本キャンパス

 長崎大熱帯医学研究所の加藤健太郎助教らのグループが、研究プロジェクト「肺炎球菌ワクチンの効果に対する一括評価方法の開発」に着手した。実用化すれば、より効果的なワクチンの迅速な開発につながる。同大が基本契約したクラウドファンディング(CF)サービス「READYFOR(レディーフォー)」を利用する研究の第1弾。12月20日までに700万円の達成を目指す。
 肺炎は高齢者の死因の大きな割合を占める。肺炎球菌は細菌性肺炎を引き起こす原因菌。このプロジェクトは、既存の肺炎球菌ワクチンが含む24種類の抗原について、それらの効果を24色の蛍光微粒子ビーズを使って一括で調べる方法の確立を目指す。
 研究に必要な抗原と蛍光微粒子ビーズは、いずれも米国製。抗原は1種5万円、ビーズ1色の小瓶は1本8万9千円(今年2月現在)で、円安でさらなる値上がりが予想され、手元の研究資金では条件を変えて詳細な検討をする余裕はないという。
 レディーフォーのCFは、同大本部が4月に基本契約。ウクライナ人学生受け入れ支援に活用した後、学内で研究資金を必要としている教職員向けに利用者を募集。寄付金のうちサイト手数料が16.5%、大学本部が取る手数料が5%で、残りが研究資金となる。支援側は税制上の控除が受けられる。
 研究者にとって研究費確保は大きな問題。国の科学研究費助成事業(科研費)の採択率は3割程度に過ぎず、場合によっては自腹を切る研究者もいるという。加藤助教は「CFで資金にゆとりができればありがたい。集まった寄付金で、2024年12月までに肺炎球菌ワクチンの効果について評価系を構築したい」と話している。


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