外交官の夢かなえた福井の男子大学生 留学先での差別経験がきっかけ、休学して猛勉強し難関試験に合格

外務省の専門職員採用試験に合格した竹内浩平さん=福井県福井市の福井大学文京キャンパス

 福井大学の男子学生が難関とされる外務省の専門職員採用試験に合格した。留学先で差別的な言葉を投げかけられた経験をきっかけに、「日本と世界の橋渡し役になりたい」と外交官を志した。来春から1年半の国内研修を経て、英語圏の国でキャリアをスタートさせる。

 同大学国際地域学部4年の竹内浩平さん(22)=福井県福井市=は、ルーマニアに留学していた2020年3月、市街地を歩いていたときに交差点で指をさされ、「コロナウイルス」と言われた。当時、新型コロナの発生源をアジア圏とする報道が現地で繰り返されていた。

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 思いがけず差別の対象になり衝撃を受けた一方で、留学先の大学には日本文化の発信拠点があり、日本に好意的な人が多いことも実感していた。「海外との友好関係を支える仕事がしたい」と、外交官になることを決意した。

 帰国後、1年間休学して通信制の予備校で1日8時間の勉強を続け、今年6~8月に試験に挑んだ。国際法や時事問題に関する論文や翻訳、英語の面接などで、合格率15~20%ほどの関門を突破した。

 専門職員は、担当国・地域のスペシャリストとして、海外と日本での勤務を数年ごとに繰り返す。竹内さんは「漫画好きなのでサブカルチャーを発信し、日本のファンを増やしたい」と意気込んでいる。

 現在は卒業研究の一環でルーマニア人小説家の執筆を支援。福井県の観光名所が作品に登場するといい、小説を通じた文化交流の可能性を論文にまとめる。

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