宮森幼稚園跡、ジェット機墜落事故を語り継ぐ「630会」への貸与撤回 うるま市教委が方針転換

 【うるま】うるま市立宮森幼稚園の跡利用について、同市教育委員会が「石川・宮森630会」への貸与方針を「スペースの確保が難しくなった」として撤回したことが3日までに分かった。不登校児童の支援施設として活用するためとしているが、630会は「納得できない」と反発している。

 2020年に市議会が630会による施設の活用に関する陳情を全会一致で採択した。市教委は今年3月、委員会会議で幼稚園の一室を630会に貸与する方針を承認したが、10月12日の同会議で撤回した。

 児童ら18人が亡くなった1959年の宮森小学校米軍ジェット機墜落事故を語り継ぐ活動を続けている630会は、石川庁舎で写真展を常設しているが、市から立ち退きを命じられたこともあり、展示場を探していた。

 同会の久高政治会長は「2年間期待していたが、いまさら使用できないとは納得できない」とし、「事故が起きた現場で平和教育をすることに意義がある」と訴えている。

 市によると、不登校児の相談室などがある与那城地区公民館の老朽化が進んでいることから、この機能を宮森幼稚園跡に移転すると説明している。宇江城聖子学校教育部長は、「他に教育委員会が持つ空き施設はなかった。教育活動を優先した」と答えた。

 高齢者の介護事業などにも活用するとし「(常設展示のために)一団体に専有させることはできない」とも述べた。

 (古川峻)

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