19世紀のパリ 現代に通じるメディアの状況を描く バルザック原作 「幻滅」公開決定

フランスのセザール賞で作品賞ほか最多7冠を獲得した映画「幻滅」が、2023年に日本公開されることが決まった。

「幻滅」は、19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックが書き上げた「幻滅——メディア戦記」を映画化した作品。舞台は19世紀前半、恐怖政治の時代が終わり、フランスは宮廷貴族が復活し、自由と享楽的な生活を謳歌していた。詩人として成功を夢見る田舎の青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズと駆け落ち同然で憧れのパリに上京する。だが、世間知らずなリュシアンは、社交界で笑い者にされる。そして、生活のために手にした新聞記者の仕事において、恥も外聞もなく金のために魂を売る同僚たちに感化され、当初の目的を忘れて欲と虚飾と快楽にまみれた世界に身を投じていく。

主演のリュシアンを演じたのは、フランソワ・オゾン監督作「Summer of 85」のバンジャマン・ヴォワザン。純粋な青年が野心と欲望に惑わされ堕落していく姿を演じる。また、リュシアンの先輩格として彼を教育していくジャーナリストを演じるのは、「アマンダと僕」のヴァンサン・ラコスト。私欲にまみれた人々のなかで唯一、誠実にリュシアンを見守る作家のナタン役は、監督としても活躍するグザヴィエ・ドランが務めている。ほかに、ジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバー、本作が遺作となったジャン=フランソワ・ステヴナンらが顔をそろえている。

監督は、「偉大なるマルグリット」のグザヴィエ・ジャノリ。打算的な人々が集まり、生き馬の目を抜くようなパリの都とマスメディアの世界で、フェイクニュースやステルスマーケティングがこの時代から横行していた事実といった現代的な要素を強調しながら、風刺に富んだ作品に仕上げている。ジャノリ監督は、「わたしはとても肉体的な感覚や刺激を映画に持ち込みたかった。サロンの人々の動き、パリの異なるエリアの大衆の猥雑とした雰囲気、あるいは時代が移り変わっていくそのスピード、そういったダイナミックなムーブメントを生み出しながら、ここに登場する人々の人生、悲劇と喜劇を結びつけたいと思ったのです」とコメントしている。

【作品情報】
幻滅
2023年全国公開
配給:ハーク
© 2021 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 3 CINÉMA - GABRIEL INC. – UMEDIA

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