自身3度目のチャンピオンを決めたSVGが、赤旗の市街地戦を制覇。連覇に華を添える/RSC第12戦

 10月28~30日にサーファーズ・パラダイスを舞台に開催されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第12戦『ブーストモバイル・ゴールドコースト500』は、両日85周のスプリント勝負に挑んだレッドル・アンポル・レーシングの王者“SVG”こと、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)が、土曜オープニングを制覇してシリーズ連覇を決め、自身3度目の王座を獲得。明けた日曜も序盤のレッドフラッグで10台以上が戦列を去る混戦のなか連勝を決め、自身のタイトルに華を添える週末となった。

 シリーズ最大の祭典として国際的な注目度も高い“グレートレース”こと、前戦『レプコ・バサースト1000』では、悪天候により幾度ものセッション中止と都合8回に及ぶセーフティカー(SC)ランが発動する大荒れの展開となるなか、チームの顔のひとりであるガース・タンダーと組んだSVGがレースを制圧。ホールデン最後のシーズンにブランド通算36回目の勝利を贈るとともに、自身はスコット・マクラフランがかつて記録した年間最多勝記録を更新するシーズン19勝目を飾った。

 そのマクラフランが北米インディカーに転向して以降、初めてRSCパドックに姿を見せたゴールドコーストの週末は、最初のプラクティスからウィル・デイビソン(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)やキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)、そして王者SVGといつものメンバーがトップ3を占めていく。

 しかし特設ストリートコースを象徴する名物シケインには、今回から4輪脱輪を判定する各種のセンサー類が仕込まれ、縁石の高さが「上がる方向」へと変化。さらに30度を超える猛暑も重なり、各ドライバーからは肉体的な負荷に対する懸念や、改修への不満が噴出することとなった。

 そんななか、予選トップ10シュートアウトではベテランのデビッド・レイノルズ(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)がドラマティックな展開を制してポールポジションを獲得し、今季2回目の最前列スタートを確保する。

 フロントロウ2番手に前戦バサースト1000覇者が並んで週末最初の85周スプリントがシグナルグリーンを迎えると、最終コーナー入り口でタイヤバリアをひっかけながらも、オープニングラップで首位を守ったレイノルズに対し、背後につけるホールデンの97号車がジリジリと機会を伺う。

特設ストリートコースを象徴する名物シケインには、今回から4輪脱輪を判定する各種のセンサー類が仕込まれ、縁石の高さが「上がる方向」に
プラクティスでは最速も記録していたキャメロン・ウォーターズ(Tickford Racing/フォード・マスタング)は、レース1で単独スピン「とにかくリヤがなくなった」
デビッド・レイノルズ(Grove Racing/フォード・マスタング)との勝負を制し、序盤13周目にSVGが首位を奪う

■11台ものマシンがダメージを負う多重クラッシュが発生

 そんな手負いのマスタングに対しペースに優ったSVGは、12周目のターン3でレイノルズに並び掛けて揺さぶると、続く周回ではシケインを際どく処理したチャンピオンがインサイドにマシンをねじ込み、ここで実質的に勝負アリ。終盤ハンドリングの不調に苦しんだレイノルズや、チャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)らを従え、王者が年間新記録の20勝目を挙げると同時に、自らのシリーズ連覇を決めた。

「ここにいるみんな、チームクルーの彼らがどれだけの努力をしてきたか、そして僕らのクルマがどれほど優れているかを証明するのは非常に特別な仕事だ。何度勝利を飾っても、心の底から興奮している!」と、自身のシリーズタイトル獲得の喜びを表現したSVG。

「デビッドはスタートでとても速かったが、その後タイヤバリアを引っ掛けたようで、僕にとっては助けになった。しばらく彼とはこんなレースをしていなかったから、本当に楽しかったよ」

 明けた日曜のレース2に向け、その新王者が今度はシュートアウトを制すると、スタートから4周目には10台以上が絡むマルチクラッシュが発生し、ここでレースは赤旗中断となる。

 起因はジェームス・ゴールディン(プレミエアー・レーシング/ホールデン・コモドアZB)がバックストレートから突入する高速シケインのターン9で姿勢を乱したことで、インカットしたホールデンがクリッピング付近のバリアを粉砕。これに行手を塞がれた後続車両が次々と激突し、都合11台以上がダメージを負う事態に。

 次々と多重クラッシュの連鎖に巻き込まれたマコーレー・ジョーンズ(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)の車両からは火の手が上がり、すぐさま消火活動が行われた。

 右フロントホイールが横倒しとなったマスタングでピットへ帰還しようとしたジェームス・コートニー(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)を筆頭に、コース修復後のSCランから5周後のリスタートでも約半数がリタイアやピットでの修復作業を強いられるなか、ターン11で首位デイビソンに仕掛けたSVGは、すぐさまリードを奪還。終盤に再度発動したSCにも動じず、モスタートとデイビソンを従え週末完全制覇を成し遂げた。

 この結果、12月初旬のアデレードでの最終戦を控え、レッドル・アンポル・レーシングもチームズタイトルを獲得。その第13戦『VALOアデレード500』は12月1~4日に、かつてはF1も開催された有名な市街地コースで争われる。

日曜レース2の4周目には、10台以上が絡むマルチクラッシュが発生。これで赤旗中断となる
再開後にウィル・デイビソン(Dick Johnson Racing/フォード・マスタング)を仕留めたSVGが、連日の勝利を飾る
これで年間最多勝記録を『21』まで伸ばしたSVG。最終戦でもその記録更新に挑む

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