仕組みから福岡のおすすめ返礼品まで!ネット通販感覚で始める「ふるさと納税」徹底ガイド

「ふるさと納税」がずいぶんと浸透してきました。とはいえ、まだ仕組みがよくわかっていない方も多いはず。今回は、毎年しっかりリサーチしながらふるさと納税を賢く活用している宮岡さんに、仕組みの解説から福岡の返礼品のおすすめまでを紹介してもらいます。遊びに来る前に、ふるさと納税で福岡を味わうのもアリかも!

12月になると、テレビCMやネット広告でよく見かけるようになる「ふるさと納税」。税負担はほとんど変わらないのに、地域の特産品が手に入る、とてもメリットの大きな制度です。ただ、私の周りでも「始めてみたいんだけど、どうやったらいいかわからないし、どれだけ得するのか分からない」という声を聞きます。

そこで、8年前からふるさと納税を続けてきた経験を踏まえ、ふるさと納税の始め方とメリット、おすすめの返礼品についてまとめてみました。

※はじめにお断りしておきますが、私は金融・税金の専門家ではありません。また、初心者向けに書いたので、複雑な仕組みについては簡略化しており、不十分な記述もあるかと思います。予めご了承ください。

「住民税のボーナス払い」のつもりで

税金、高いですよね。給与明細をみるたびに、所得税と住民税、さらに社会保険料の天引き額を見てため息が出ます。定期昇給があったり、役職が与えられたりして、見かけ上の年収は上がっているんだけど、手取り額はそれほど増えていない気がする。それもそのはず、税金や社会保険料は報酬に応じて上がっていく(しかも正比例ではなく、累進課税)ので、手取りが増えた実感が湧きにくいのです。

私がふるさと納税を始めた理由は、この「月々の手取り」を少しでも増やしたい、との思いからでした。簡単に説明すると、そもそもふるさと納税とは「自分が住んでいる市町村以外の自治体に“寄付”をすることによって、翌年の住民税が控除される」制度です。

たとえば、ふるさと納税で6万円を寄付した場合、次の年の住民税が年5万8,000円、つまり月5,000円ほど安くなります。言い換えれば月5,000円、手取りが増えます。10万円寄付すれば、住民税が9万8,000円安くなります。

加えて、地域の特産品などが「お礼の品(返礼品)」として自宅に届くのです。ふるさと納税のことを「実質2,000円で地域の特産品が手に入る」と表現しているのを聞いたことがあるかもしれませんね。

(例)2022年に6万円分の「ふるさと納税(寄付)」を行う

ワンストップ特例申請・確定申告で寄付を証明

2023年度の住民税(2023年6月〜2024年5月)が
年5万8,000円(月5,000円弱)安くなる

よく「ふるさと納税をすれば税負担が減る」と誤解されがちなんですが「ふるさと納税をしても、トータルの負担が減るわけでない」ということに注意しましょう(むしろ2,000円増えます)。

私が取った手段は、夏・冬のボーナスが支給されたら、それを原資にふるさと納税をする。それによって、月々の手取りを増やす。つまり「住民税のボーナス払い」と同じ効果が得られたのです。

寄付をしたらワンストップ特例申請または確定申告を忘れずに!

ふるさと納税=自治体への寄付をすればそれでおしまい、ではありません。それをきちんと証明する手続きをしないと、翌年の住民税に反映されないからです。手続きの方法は2つあります。一つは、寄付先の自治体に「ワンストップ特例申請」をすること。申請書の書式は自治体からの郵送か、次項で紹介する、ふるさと納税ポータルサイトからダウンロードして入手できます。必要事項を記入し、マイナンバーがわかる書類を添付して自治体に送付します。詳しい申請方法は各ポータルサイトをご覧ください。

ただし、ワンストップ特例申請ができるのは、1年間に5つ以内の自治体に寄付した人に限られます。6つ以上の自治体に寄付した方は、もう一つの方法である、確定申告をする必要があります。個人事業主や副業をしている方で、還付申告をしたことがある方にはなじみがあると思いますが、会社勤めしかしていない人にとっては少し手ごわいと感じるかもしれません。

でも、高額医療費の還付を受けたり、住宅ローン減税を受ける手続きの1年目だったりするときはサラリーマンでも確定申告をしなければなりません。近ごろではマイナンバーカードとスマートフォンがあれば税務署や確定申告会場に出向かなくてもe-TAXで完結できるので、チャレンジしてみてください。自治体から送られてくる「寄付金の受領書」は、確定申告に必要なので無くさないように保管しておきましょう。

なお、令和3年度からは受領証の代わりに、ふるさと納税ポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」を用いることもできるようになりました。

ポータルサイトのシミュレーションで控除限度額をチェック

では、1年間に払っている住民税を全額、ふるさと納税にしてしまえば、月々の住民税をゼロにすることはできるでしょうか?答えは「ノー」です。控除額には上限があり、年収や家族構成(扶養家族の有無)、社会保険料や生命保険料などその他の控除がいくらあるかによって、ふるさと納税での控除が認められる金額が決まります。分かりやすく言い換えれば「この金額までは、ふるさと納税をしても損しませんよ」という額です。この上限を超える額を寄付することは可能ですし、その分の返礼品も受け取れます。しかしそれは「税金とは相殺されない、ただの寄付」になってしまいます。

もちろん、住民税非課税世帯はそもそも控除される対象となる税金を納めていないので、ふるさと納税をするメリットはありません。逆に高額納税者ほど、限度額は増えます。この制度が「富裕層優遇」と批判される理由はそこにあります。

話を戻しましょう。「自分はいくらまでふるさと納税を利用できるのか?」については、ふるさと納税を行うためのポータルサイトに、上限額を算出できるシミュレーションページがあるので、それを利用するのが手っ取り早いでしょう。手元に源泉徴収票を用意するか、なくても「簡易版」で目安を知ることができます。

<控除上限額のシミュレーションができるポータルサイトの例>
●楽天ふるさと納税 https://event.rakuten.co.jp/furusato/mypage/deduction-details/
簡易版 https://event.rakuten.co.jp/furusato/mypage/deductions/

●ふるなび https://furunavi.jp/deduction.aspx

●ふるさとチョイス https://www.furusato-tax.jp/about/simulation
簡易版 https://www.furusato-tax.jp/about/easy_simulation

いずれのサイトも簡易版で「年収500万円、既婚、扶養家族あり」という条件を入力すると、年5万円前後が上限額になりました。あなたの条件ではいくらになりましたか? さぁ、算出された金額を元手に「ふるさと納税」を始めてみましょう!

ネット通販の感覚でできるふるさと納税

ふるさと納税は、各自治体のホームページからでも手続き可能ですが、やはり便利なのはポータルサイトでしょう。前項で紹介した3つのサイト以外にも、デパートや航空会社、携帯電話会社もふるさと納税のポータルサイトを手がけています。それぞれ、返礼品の取り扱いで「食品に強い」「家電が多い」といった得意分野があったり、返礼品に加えて独自のポイントやマイルが貯まったりとユーザーの囲い込みにあの手この手を使っているので、自分にとって使いやすくて、もっともメリットがありそうなサイトを探してみましょう。

私の場合は「楽天ふるさと納税」をよく利用しています。ページデザインや使い勝手がネット通販サイト「楽天市場」で買い物をするのとほとんど変わらないこと、同じ楽天のID・パスワードが使えるので、新たに会員登録をする手間が省けたことなどもありますが、最大の理由は「楽天お買い物マラソン」の対象になっていることです。

楽天ユーザーにはよく知られていますが、楽天市場では月に1度くらいのペースで、期間中に利用した店舗数に応じて楽天ポイントの付与率が3倍、4倍…と増えていく、「お買い物マラソン」が開催されています。楽天の各種サービス(楽天カードや楽天モバイルなど)の利用者は30倍、40倍あるいはそれ以上にもなります。

この「お買い物マラソン」期間中に、一気にふるさと納税を済ませてしまうのです。たとえば、1万円ずつ5つの自治体に寄付(ふるさと納税)をすれば、5店舗でそれぞれ1万円分の買い物をしたのと同じ楽天ポイントが得られます。大雑把な表現ですが「ガソリン満タン1回分」くらいのポイントはふるさと納税だけで得られている計算です。余談ですが、実際そのとおり、わが家のマイカーは楽天ポイントが使えるガソリンスタンドで給油をしています。

「お礼の品」は何を選べばいいのか?

さて、ようやく肝心の「お礼の品(返礼品)」についての説明に入ります。「何がもらえるか?」はここで紹介するよりも、実際にポータルサイトを見た方が早いと思いますが、それはそれはありとあらゆる物が用意されています。野菜や果物、肉や魚介類などの産地直送品はもちろん、工場が立地する自治体からは家電製品や生活雑貨、ビールやお酒など。さらに、観光業が盛んな市町村では品物ではなく、その町の宿泊施設やレストランの利用券が送られてくるところもあります。

何を選ぶかはあなた次第。生活必需品を返礼品で賄いたい場合は、お米やティッシュペーパーにするといいでしょう。あるいは「自分でお金を出してまでは買わないけど、あると嬉しいぜいたく品」をチョイスするなら、ブランド和牛や北海道産のウニや毛ガニ、有名ブランドのコスメはいかがでしょう?他にユニークなものとして、私の周りではお正月に食べる「おせち」をふるさと納税で入手している方もいますし、きれいに箱詰めされた贈答用の佐藤錦(さくらんぼ)を自分用に申し込んだ、という人もいました。

かつては、寄付額を増やしたい自治体同士の獲得競争によって、返礼品が高額になるケースもありましたが、いまは総務省が決めたルールで「返礼品は寄付額の3割相当まで」とされています。「なんだ、1万円寄付しても3,000円程度の物しか送られてこないのか」と思うかもしれませんが、この3割というのは、小売価格ではなく、仕入れ価格。なので、1万円の寄付に対し「豚肉2キロ」や「米15キロ」というのはざらにあります。お米って、安めのものでも近所のスーパーで買えば5キロで2,000円くらいはするでしょう? その3倍の量のお米が、精米したての状態で送料無料で自宅まで届くって、とてもありがたい制度だと思いませんか?

さらに、流通には乗らない「訳あり品」や、新型コロナで飲食店が営業を自粛し、その影響で出荷できなかったものを「緊急支援品」として用意している自治体もあります。こういう掘り出し品を探すのも、ふるさと納税の楽しみの一つでしょう。

九州は返礼品の宝庫!福岡のおすすめは…?

もともと食材の宝庫である九州各県。ふるさと納税の返礼品はとても充実しています。佐賀県や宮崎県では、ブランド和牛が有名ですし、うなぎの養殖が盛んな鹿児島県ではサイズや数が選べる蒲焼きが多くの自治体で用意されています。離島が多い長崎県では、新鮮な魚介類が豊富、熊本県内の自治体は馬刺しやお米、大分県はかぼすやどんこ(椎茸)、杉を使った木工品など、地域の特色が反映されたものがたくさんあります。

そんな中、福岡県内の返礼品から私のおすすめを2つご紹介します。その前に一つ注意を。冒頭に書いた通り「ふるさと納税」は、自分が住んでいる自治体以外の市町村に寄付する制度です。たとえばどんなに返礼品が魅力的だからといっても、福岡市民が福岡市にふるさと納税をしても、返礼品は届きません(寄付すること自体は可能)。県内他の市町村であればOKです。

①赤崎牛(嘉麻市)

福岡県嘉麻市の赤崎牧場で飼育されている赤崎牛は、飼料だけでなく飼育方法にもこだわった、旨味がぎゅっと詰まったお肉です。ブランド和牛はサシ(脂身)が多くてちょっと苦手…という方でも、赤崎牛は脂身が少なく赤身が多いので大丈夫。しかもとっても柔らかい肉質です。

塊肉のレンガステーキからスライスした焼肉用まで寄付額に応じて選べます。冷凍ではなく冷蔵(チルド)で届くのも魅力の一つです。

②ハンバーグ(飯塚市)

「楽天ふるさと納税」のサイトで常に人気ランキング上位に入っている、福岡県飯塚市の返礼品。地元の調味料メーカー自慢のデミグラスソースが、鉄板焼きハンバーグの美味しさを引き立てています。熱湯で温めるだけで食べられる手軽さ、1万円の寄付に対してハンバーグ20個というお得感も人気の理由。「そんなにハンバーグばかり要らない」という方は、ビーフシチューやカレーとのセットも選べます。

まとめ

これから始めたい方のために「ふるさと納税」についてまとめてみました。おさらいですが、
①まずは自分がいくらまでふるさと納税できるか、寄付控除額を調べる
②その金額を上限として返礼品を選んで寄付する
③ワンストップ特例申請か確定申告をする
この3つのプロセスを忘れないようにしましょう。

なお「返礼品のないふるさと納税」も選択できます。たとえば、豪雨などの大規模災害に見舞われた自治体を支援するための寄付が、ポータルサイトに掲載されることがあります。私も2017年の九州北部豪雨で被災した自治体に「返礼品なし」で寄付したことがあります。その際も、受領証を使って確定申告をすることで、翌年の住民税の負担を軽減することができました。参考になれば幸いです。

© 株式会社えんメディアネット