【應援指導部】慶早応援企画責任者対談~慶應倒し意気上げて、おお打てよ砕け早稲田を倒せ~後編

東京六大学野球秋季リーグ戦応援も残すは慶早戦のみとなった。野球応援の季節が終わりに近づく中、早大応援部と慶大應援指導部の応援企画責任者が集結!早大の木部昌平さん、富山智恵理さん、横田奈々さん、慶大の乃坂龍誠さん、Kさんの5人がお互いの尊敬するところや慶早戦に懸ける思いを語ってくれた。

前編は早稲田スポーツ新聞会で公開されています!前編はこちらから

ーー慶大は新しいバンドコールができましたが反響は

Kさん:野球部員からすごく人気で、メジャーリーグの響きを意識して3年生が新しく導入してくれましたが、慶應の野球部がいいねと言ってくれます。他大学の野球部もバンドコールが流れると嫌な気持になると言っているので、効果抜群で、應援指導部外からの反響が思ったより大きく、使って良かったです。

乃坂:手拍子をしやすいです。今の応援はなかなか声を出すことが難しいので、そういう時に自然と(手を)たたいてくれるような曲調になっているのが大きいと思います。

ーー早稲田の皆さんは慶大の応援が変わったと感じたことはありますか

木部:僕は慶應の応援席に3回行っているので(笑)。メドレーに入らない時にずっと楽器を演奏しているということが、僕は想像できないです。実際見てみたらいい感じだったので、六大学に新しい風を吹かせたことが良いと思いました。僕は絶対思いつかなかったので、やっぱり慶應はすごく良いと思いました。

横田:今年になってから球場で他大学の応援に興味を持って見るようになったので、違いということについては分からないのですが、慶應は盛り上げに統一感があり、それは早稲田にはないです。どっちが良いとかはないですが、早稲田は各々の裁量で盛り上がっているところがあるので、そこは慶應らしいと思いました。

富山:昨年の慶應の応援席を知らないので、今年がどうか比較はできないですが、見ていて全体で統一感を持って盛り上げるという応援の雰囲気はすごく良いと思います。早慶戦では負けないように頑張りたいと思います。

ーーチアリーディング曲の印象は

Kさん:慶應はメイン台でスタンツをやらずにダンスだけですが、早稲田はいろいろなことをやるので、見ていてすごいと感じます。また、(早稲田は)チア曲は4年生が(メイン台に)乗っているのですが、ポンポンで文字を作ったりボードをたくさん持ったり可愛いです。慶應は1曲踊るだけですが、早稲田は1個のステージになっていて、見ていていつも楽しいです。

横田:慶應はスタンツをやらずに平場なのですが、その精度がありえないくらい高いので(笑)、平場の部分を早稲田でも入れると比べられてしまうことがあるので、練習中でも悔しいのですが「慶應みたいに」というアドバイスが出るくらい模範的な平場で、お手本にさせてもらっています。

Kさん:ありがとうございます。

ーー踊ることはないのですが印象はどうですか

木部:ユニコン君タオルを被るのが良くて…..僕はユニコン君タオルを買いました。ずっと被りたいと高校生くらいから思っていました。

横田:高校生から!?

木部:被って神宮に来る人がいて、その人の真似をしたいと思っていました(笑)。

Kさん:今年から新しく、応援席でみんなで被ってチア曲をやっています。

ーー野球部のイチオシ選手は

乃坂:下山(悠介=商4・慶應)です。自分は塾高(=慶應高)でも應援指導部だったので、高校からずっとチーム下山を一番に応援していました。彼はすごく人格的にも素晴らしいですし、とにかくチームを第一に考えて、必死に努力していることを知っているので、チーム下山のラストシーズンを全力で後押ししていきたいと思っています。

Kさん:4番の萩尾匡也(環4・文徳)です。ドラフト会議でも指名されてプロ野球選手になるというのもそうですが、本当に4番として、いつでも大事な場面で活躍を見せてくれたり、性格も明るく面白く楽しいので、チーム下山を応援する上で欠かせない選手だと思います。慶早戦でも彼の活躍を楽しみにしています。

富山:私はやっぱり蛭間(拓哉=スポ4・浦和学院)くんです。高校が埼玉だったので、高校の時から蛭間君の存在は知っていて応援していました。ここまでプロへのプレッシャーもあり成績が良くないので、早慶戦でこそ大きな1本、2年前のような逆転ホームランを見せていただければと思っています。

対談は和やかな雰囲気で行われた

木部:主将の中川(卓也=スポ4・大阪桐蔭)です。最近話す機会があったのですが、応援部の応援が力になっていると言ってくれました。主将がチーム内の関係性に注力して、応援部も下級生を大事しないといけないと思っていますが、それは野球部も同じだと思っています。僕は野球はそんなに詳しくなく、野球部にも友達はいなかったのですが、そういう話を聞いて、キャプテンとしてすごく頑張っているのだと思い、早慶戦も頑張ってもらいたいです。

横田:私は加藤幸太郎(人間3・下妻一)選手です。この秋リーグは彼なしでは語れないです。彼はスポーツ推薦ではなくて一般入試で入ってきているので、相当な努力を重ねてきて想像もつかないです。この秋リーグも相当なプレッシャーの中で戦ってきたと思うので、実力を発揮してくれることを期待しています。

一同:拍手

ーー今まで印象に残っている早慶戦は

Kさん:私は昨年の慶早第2回戦です。引き分け以上で慶應の優勝が確定するという状況だったのですが、土曜日に負けてしまい、日曜日も負けてしまうのではないかという試合展開で、さらに雨も降っていました。その時は「2連敗か」などと思っている暇もなく、必死に応援をしていた中で引き分けて、ぎりぎりで優勝できました。あまり覚えてないくらい衝撃的で、早慶戦と言わず今までの試合の中でも一番印象に残っています。

乃坂:早稲田さんは慶應相手にすごく強いので、全部印象に残っているのですが、強いて挙げるなら1年秋の慶早戦です。他の大学からは全て勝ち点を取っていて、慶早戦第1回戦も勝ち、全勝優勝が見えたところで2連敗をしてしまいました。優勝はできて、神宮大会で日本一も取ったのに早稲田から勝ち点が取れませんでした。その年も春は明治は森下(暢仁=現広島東洋カープ)というピッチャーがいて強く、明治に勝てずに明治が優勝して、秋は明治に我々が延長で勝ち、いい展開で慶早戦を迎えたのですが早稲田に結局勝てませんでした。今年と状況が被っており、その1年の時の悔しさを返す時なのではないかと思っています。

富山:やっぱり2年の秋の……

横田:早稲田からしたらそうだよね。

富山:蛭間選手の逆転ホームランは夢のよう体験でしたし、今でも定期的にあの瞬間の動画をYouTubeで見て、優勝が決まった後の応援席の様子は、泣けるくらいなので、ああいう感動的なシーンを今年の早慶戦でもやっていきたいと思っています。ぜひ見て欲しいです!

横田:私は1年生の時の10連勝での慶大の完全優勝を止めたのが一番大きいです。2年前の優勝の時は、実力的にも同じくらいでみんなの期待があったと思うのですが、1年生の時の試合は慶應が強すぎて、何かが起こらないと勝てない試合でした。そのため、応援の意義を見出せた大きな試合だと思います。

木部:秋の早慶戦は全部印象に残っているのですが、2年の時の早慶戦の前に体調を崩して2週間くらい入院していて、病室でかろうじて意識がある中、BIG6を見たら優勝していて、何なんだろうと思い、鬱になったのを覚えています(笑)。3年生の時は稲穂際実行委員の委員長と、応援企画補佐という応援企画の補佐もやっており、忙しくて気づいたら終わっていました。秋の早慶戦は全部印象に残っているので、4年で最後の早慶戦も印象に残るものになるのではないかと思います。

ーー今回の早慶戦はどのような早慶戦にしていきたいですか

木部:2年生の時は早慶戦に行けなく、3年の時も気づいたら終わっていたという状況で、正直応援部人生で早慶戦が過去一番良かったということがなかったので、今回は早慶戦で完全にいいものができて終われたらと思っています。

横田:勝ちたい…..(笑)。いろいろあるのですが、全て勝ちたいから選手の後押しをしたく、選手の後押しをしたいから観客を巻き込みたいので、一番最後の目的は勝つことだと思います。

富山:早稲田はもう優勝はなくなってしまいましたが、伝統ある早慶戦で勝ち点を取るということは意義があることだと我々も思っているので、最後の最後で打倒慶應ができるように全員で一つになって取り組めたらと思います。

乃坂:慶應のスタイルを貫いて、早稲田の応援と早稲田の野球を越えたいと思います。個人的に小宮山(悟=早大野球部監督)監督が好きで本当に尊敬していて早稲田の野球も応援も好きなのですが、自分は慶應としてやってきているので、慶應のスタイルを完成させて早稲田に皆さんに見せて上回っていきたいと思います。

Kさん:勝ちたいですし、その理由は山ほどあるのですが、早稲田側もそれは一緒だと思っています。ここまで来たらどっちが勝ってもおかしくないと思うので、どういう結果が出ようと慶應の應援指導部として全てを出し切り、何も後悔がないという状態に持っていくことが全てだと思います。その結果として勝ちが付いてきたらすごく幸せだと思います。

丁寧に質問に答えるKさん

ーー相手の応援に負けないところと、相手の尊敬するポイントは

乃坂:負けないポイントは気迫とロジカルさの両立でいい応援を作ることです。一生懸命頑張るという気持ちの部分も大切ですが、それだけではなく合理的に考えて、どういう応援をすれば最も選手に届くのか、応援のパワーが大きくなるのか、「ダッシュケイオウ」では音に緩急を付けてやっています。気合い一辺倒ではないところは負けてないと思います。一方で早稲田さんのすごいと思うことは、人数の多さからくる尋常ではないエネルギーと破壊力で、恐怖でしかないです。

Kさん:とにかく今年はロジカルな応援ということを特に野球応援では掲げていて、音に緩急を付けることもですし、どこでどういうチャンスパターンの曲を選択するか、どこに人を配置してどのように応援するかなど、体力面も含めてバランスを考えてやるということが慶應が負けてないと思っていることです。早稲田は、気合いと気迫のパワーがすごく、私も何回か早稲田の応援を上から見ていたのですが、本当に一人一人からそのパワーを常に感じることがすごいところだと思います。

木部:負けていないところは気合いと気迫です。コンバットマーチをリーダーとチアのみんなでついたり、曲目の選択も気合いが入るようにしていて、8回にはエンドレスで紺碧の空を流したり、吹奏楽団の方に迷惑を掛けているのですが(笑)、全員が全力を出して選手にぶつけられるように曲を考えています。実際慶應にも届いていますし、他の人にも届いていると思います。慶應のすごいと思うところは、ロジカルさもですが、チャンスパターンの曲がかっこよく、「アラビアンコネクション」や「突撃のテーマ」など慶應にしか出せない熱狂を生み出だしていると思っています。

富山:吹奏楽団的な観点でいうと、今年1年間早稲田では指揮と協力して演奏技術や質を重視してやってきました。下級生が豊富に入ってくれたというのもありますが、トラペットが10人いるので、音の厚みや音量など、数で勝てていることも大きくあるのではないかと思います。ただ、慶應のチャンスパターンは本当にかっこよくて、「暁」もそれを意識して作ったところがあるので、一段ギアの上がるようなチャンスパターンをテンポよく使っていることが慶應の良いところだと思います。

横田:先ほども合理性やロジカルと言っていたと思いますが、慶應の統一感といいますか、(全体から)どの人数をとっても同じような応援を作れると思います。逆に早稲田はこの代のこのメンバーでしかできないような応援になっていると思います。テンプレートが慶應に比べてないと思っているので、それが早稲田の良い所でもあるし、慶應の良い所でもあると思います。

一同:拍手

ーーお互いはどのような存在ですか

Kさん:それぞれに良いところや特徴があり、お互いがお互いに勝ちたい理由もたくさんある中で、野球に限らずいろいろな慶早戦があり、そこで一緒に戦えるという本当に良きライバルです。六大学の中ではすごくいい仲間だと感じていて、常に切磋琢磨し合い、良いところを感じ合っているが負けられないという、すごくいい関係でいい相手だと思っています。

乃坂:尊敬できる友です。お互いでお互いを深め合いつつも、それは馴れ合いではなく、真剣勝負で死ぬ気でやってどちらも越えていくが、根底には必ずリスペクトと尊重があり、お互いなくてはならない存在だと思います。

富山:よきライバルでありよき友であると思います、私は慶應の吹奏楽団のMくんとしゃべる機会があり、リーグ戦期間中も早慶戦まではお互いが勝つことを応援して、でも、「早慶戦では潰すけどね」と話していました(笑)。お互いのことを思いながらも最後は越えないといけない壁だと思っています。

横田:乃坂くんが模範解答を出してくれたので、今さら付け加えることはないです(笑)。

木部:僕も一緒です。

ーー読者に向けてメッセージをお願いします

木部:絶対に慶應にだけは負けられないので、早スポの方は早稲田を応援していただいて、ケイスポをご覧の方も早稲田を応援してくれたらありがたいのですが(笑)慶應を全力で応援していただいて、どちらが勝かというところだと思います、4年生として最後の野球応援になるので、初回から死ぬ気でやって全力を出し切り、いい形で終われたら良いと思います!

富山:早慶戦という特別な試合ではあるのですが、我々応援部としても、目の前の一球や一打席に懸けて応援しているので、その熱量を感じながら一緒に応援してほしいと思います。応援よろしくお願いします!

横田:読者の方ということで、応援に対して前のめりな方も多く見てくれていると思いますが、そういった方々も早稲田の応援の一部なので一緒に戦ってくれるとうれしいです!

乃坂:ぜひ神宮球場に来ていただけるとうれしいと思っています。応援エリアの近くに座っていただき、慶應の応援もそうですし、慶早戦という文化の楽しさを感じてもらい、慶應の優勝を見届けていただければと思います!

Kさん:神宮球場に来ていただければ、若き血たぎる心震える瞬間が必ずあると思うので、そういう瞬間を一緒に迎えられたらと思います!

ーお忙しい中ありがとうございました!

(取材:早稲田スポーツ新聞会 横山勝興、慶應スポーツ新聞会 長沢美伸)

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