なんと15か所も同名 多すぎる「八丁堀バス停」 集約… 進むのか?

全国でも有数のバス路線の多さを誇る広島。

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広島市内中心部の紙屋町と広島駅方面を結ぶ相生通りを通るバスだけでも、1日に3100便が乗り入れています。

ゆえに広島のバスは、路線が多いだけではすまないのです。何が多いか、わかりますか?

そう…。同じ名前のバス停です。あそこもここも「八丁堀」。いったい、どこの「八丁堀」から乗ればいいのか、わからなくなってしまうことありませんか?

利用する人たち
「例えば東急ハンズ行きたいんだけど、どのバス? バス停、どこ?」

「どの八丁堀か、わからないから、ずっと待っていても来んやないかいということもある」

きょうは、なんと同じ名前で登録上、15か所もあるという街中のバス停を集約しようという動きについてお伝えします。

「多すぎる『八丁堀バス停』 これから集約… 進むのか?」

地図で八丁堀のバス停を見てみましょう。

実は登録上、15か所あるのですが、14年ほど前に2つのバス停の建物が1つにされて、見た目では14か所になっています。中には「八丁堀」の次が「八丁堀」という路線もあるんです。広電バス12番、仁保沖町と戸坂を結ぶ路線では、南から行くと「八丁堀・バッケンモーツアルト前」の次の停留所が、「八丁堀・白島通り」となります。

この多すぎる「八丁堀」のバス停を集約しようという動きがあるので、現地に行ってみました。

小林康秀 キャスター
「今、八丁堀交差点に来ています。多くの車が走っていますが、その中に数多くの赤や緑のバスが多く走っていますね。バス停はここから見えるだけでも、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ。7つ見えます。これ、全て、『八丁堀』のバス停なのです」

南北東西に交わる交差点なので、それぞれの方向を考えると同じ名前のバス停が複数あるのは、ある意味、当然なのですが、わかりやすくするために東西に伸びる道の相生通りの北側の歩道上に限って「八丁堀」バス停に注目してみます。

小林康秀 キャスター
「相生通りの一番東側から行きましょうか。広電の胡町電停のすぐ目の前にあるのが、八丁堀 賀茂鶴オアシス前。これが1つ目です。ではスタートします」

「2~30メートルしかありません。2つ目の八丁堀です。ここは、八丁堀としか書いていません。以前は名前があったようですが、シールが貼られています。ここは、目印となる建物がなくなっているんですね」

「さあ、八丁堀交差点を渡ります。3つめ、八丁堀 福屋別館前を通り過ぎました。」

「けっこう長い距離ですよね。200メートルくらい歩いたでしょうか。続いて4つ目の八丁堀が見えてきました。東急ハンズ前と書いてあります。ここからは距離がありそうですね」

「最初の八丁堀のバス停がかすんで全く見えなくなっています。最初のバス停が全く見えなくなってしまうくらいの距離になっています」

「あおぞら銀行前というふうに書いてありますね。八丁堀 あおぞら銀行前を過ぎて、すぐ近くにあるバス停の名前は立町。ということは、東西方向の西向きだけで、八丁堀は合わせて5つもあるということになります」

とはいえ、決してムダに多いというわけじゃないんです。そもそも、どうしてこんなに同じ名前のバス停ができてしまったかというのには、ちゃんと理由があります。

紙屋町方面のみ、さっき、たどった相生通りを通るバスは1日に3100便。つまり、もし、ここにバス停が1つしかない場合、バスが停まって乗客が乗り降りしているところに次のバスが来て、また次が来ると、車線をふさいでしまいます。

この便数をさばくためにバス停を多く設けることで分散させてきたのです。

とはいえ、やはり「15」はさすがに多すぎるということで、実は11月1日から「八丁堀バス停」が集約されます。

さて、それはどうやって行うのか。また、その結果、「八丁堀」はいくつになるのでしょうか? ご覧ください。

広島県バス協会の赤木さんに聞きました。

広島県バス協会 赤木康秀 専務理事
― 今回、バス停を集約というのは?
「中心部は乱立しているいう状況があります。それを少しでもわかりやすいバス停にするために集約して、隣りの立町バス停と合わせて1つのバス停にすると」

「八丁堀・あおぞら銀行前」を「立町」に変えて、もともと、そのすぐ西隣りにある「立町」バス停を統合しようというのです。

実は、この動きは5年前から始まっていました。

当時のニュースでは今回のバス停集約に向けた初めての実証実験を伝えています。なぜ、これほど時間がかかったのでしょうか?

広島県バス協会 赤木康秀 専務理事
「やっぱり広島市が工事を募集したんですけども、なかなか今、忙しいとか、なかなか金額的に(折り合わず)流れてきた」

― もっと本当は早くやりたかった?
「ええ、そうですね」

実験から5年を経て、ようやく動き出した今回の集約。ことし4月には停車のための切り込みをなくす工事が行なわれました。これで停車と発車にかかる時間が節約できたそうです。

広島県バス協会 赤木康秀 専務理事
「こういう形で、まっすぐ止まるという形になるわけですね。以前は切り込みがあったけど、もう中に入っていたわけですね。まっすぐ停まれなかった。停まれるようになってバリアフリーに」

以前の形では、歩道とバスの間にすき間ができ、高齢者などには乗り降りしにくいと改善の要望も出ていました。

しかし、これでは停車で1車線がふさがれます。

さらに集約により、ここに停まるバスは210便増えて607便となる予想…。まちづくり団体「カミハチキテル」などと実証実験を何度も重ねて、「渋滞は起きず、スムーズにバスが離発着している」ことがわかり、ようやくの実現です。

広島県バス協会 赤木康秀 専務理事
― 今、15で、これが14になると。いくつぐらいになるようなイメージ?
「そこまではまだ決まっていませんけど、八丁堀だけじゃなくて、紙屋町とか相生通り全体がバス停が乱立しているので、それを少なくして、なるべくわかりやすいものにしたいという数はまだ。これから1個ずつ1個ずつ」

― これまでに5年かかった理由は、資材の高騰などにより入札が不調に終わっていたというのが主な理由なんだそうですが、これからも費用面の問題があります。今回のバス停移設に関して、ストレート化するための路面の舗装は広島市が、屋根や時刻表が掲示される上屋はバス事業者が行ないました。この上屋の移動だけで500~600万円かかるそうで、コロナで財政事情が厳しいバス会社としては、一気にあちこちというわけにいきません。

― 広島市が「地域公共交通計画」の中でイメージする将来的な集約は、八丁堀の一部が、「紙屋町東」や「銀山町」にというものです。いずれ戻ってくるであろう観光客のためにも公共交通がもっとわかりやすいといいですよね。

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