春の高校バレー県予選特集 バレーボール男子(3) ベスト4陥落の悔しさを晴らす別府鶴見丘 【大分県】

6月の県高校総体で佐伯鶴城に敗れ、準々決勝敗退に終わった別府鶴見丘。「鶴見旋風を起こす」をスローガンに掲げ3年ぶりの頂点を狙っていたが、逆に佐伯鶴城に旋風を起こされる結果となった。春の高校バレー県予選はノーシードとなり、舞裕太監督が「崖っぷち」と話すように一戦一戦が気を抜けない勝負となる。

県高校総体の主な敗因は「チームの団結不足」とそれに起因する「連携ミス」。キャプテンの篠田圭吾(3年)は「佐伯鶴城に追い詰められてやっとまとまることができた。でも遅かった」と悔しさをにじませる。

現在はその苦い経験を踏まえてコートに立つ選手、立たない選手に関係なく、全員で声を出し、お互いを鼓舞しながら、雰囲気づくりに取り組んでいる。選手たちは練習試合などを経て「コートの外からでも、コート内の雰囲気を変えることができると分かった」「周囲の声でコートに立つ選手に緊張感や責任感が生まれている」とその大切さを実感している。

特に3年生は最後の試合となる今大会への思いが強い。篠田は「どこと当たっても、1回戦から全て勝って優勝する。そのために誰よりも声を出し、コート内を走り回ってチームを盛り上げたい」と真っすぐに前を見据える。それは選手全員に共通する思いだ。気迫あふれる練習を見ればそれが分かる。舞監督は「やっと戦う集団になってきた」と確かな手応えを感じている。

ノーシードから頂点を目指す別府鶴見丘

戦力評価(10段階)

スパイク力 8

サーブレシーブ力 7

レシーブ力 7

サーブ力 8

ブロック力 7

セッターのトスワーク 8

サーブで有利な展開をつくり、ブロックでプレッシャーをかけ、チーム全員で「どこからでも」攻撃できるスタイルを構築。県高校総体後は原点に戻り、コツコツと基礎体力の向上にも取り組んできた。舞監督の評価は、王者に君臨していた歴代の選手を知っているからこそ厳しめだが、チーム力は着実に上がっている。

攻守の要としてチームをけん引するのはアウトサイドヒッターの篠田と、リベロの倉富弘太朗(3年)。特に篠田は最後の大会に向け、練習中も積極的に声を出し、仲間を鼓舞する姿が目立つ。県高校総体で1年生ながら大きな存在感を見せたセッターの遠々内慎もカギとなる選手。「まだ甘い部分もあるが、やっと『考えたトスワーク』、上級生を生かしたプレーができるようになった」(舞監督)。練習後は毎回セッターの役割について舞監督と突き詰めて話し合い、チームの中核を担う自覚や責任感も芽生えつつあるという。

「明日何を失ってもいいくらい、今日を打ち込め」。3年生にとって、舞監督が言い続けた言葉が殊更重く響く最後の大会。ベスト4陥落の悔しさ、自らのふがいなさ、勝利への渇望。さまざまなものを背負い、選手たちは捨て身の覚悟で頂点を目指す。

緊張感のある練習で士気を高める

(甲斐理恵)

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