「学校だけでなく、地域とともに支えていけたら」少子化が進む中 静岡市の部活動改革「シズカツ」とは【SDGs】

少子化が進む中、静岡市は公立中学校の部活動改革、「シズカツ」という取り組みを始めています。学校の枠組みを越え、地域資源を活かした新たな部活動の形を模索しています。

<練習の様子>

「ナイスキャッチ!」

静岡市駿河区の長田南中学校女子ソフトボール部です。放課後に練習をしていると、遅れてきた生徒が…。この3人。実は、近隣にある、長田西中学校の生徒です。

<長田南中学校 女子ソフトボール部 志田貴宏顧問>

「拠点校が長田南中学校で近隣校に長田西中学校と城山中学校の2校があるんですが、3校に在籍している生徒は本校のソフトボール部に加入することができるというエリア制部活動を試みています」

城山中学校からの部員は現在いませんが、長田南中学校は9人、長田西中学校からは4人が合同で練習に励んでいます。

その名も「シズカツ」。種目や地域の状況に応じて市教委が近隣校のグループを指定し、拠点校を中心に活動するというものです。そのチームで、中体連などの大会にも出場することができます。

<長田西中学校2年 齊藤天音さん>

「もともと小学校の頃からソフトボールをやっていたので、クラブチームに入ろうかなと考えてました。平日とか練習ができるのでたくさんやりたかったので来ました」

<長田南中学校2年 安竹ななみさん>

「長田西もいることで幅も広がるし、楽しいです。どんどん増えていってほしいです」

静岡市は現在、市内の10校で実践研究をしていて、2023年度から本格的な導入を進める予定です。

<静岡市教委 学校教育課 古牧大輔指導主事>

「部員の確保はもちろんなんですが、今まで学校になかった種目も隣の学校に行くことでできる。学校間で部活動を支え合う仕組みの一つとなっています」

<地域指導員 竹下篤さん>

「内野の境から急に硬くなるからバウンドをよく見ろ」

生徒たちのプレーを鋭く観察しアドバイスをする男性。週に3〜4回、生徒たちに指導する「地域指導員」の竹下篤さんです。長田南中学校のOBで、ソフトボール歴35年。現在は社会人のクラブチームで活動しています。

一方、長田南中学校の志田教諭は、野球経験はあるものの、ソフトボールの競技経験は、ありませんでした。

<長田南中学校女子ソフトボール部 志田貴宏顧問>

「(竹下さんに)来ていただいてありがたいと思っています。大変具体的でわかりやすいアドバイスを子どもたちにしてくれていますので心強く思っています」

静岡市の部活動を巡っては、指導する教員の長時間労働が課題となっているほか、競技経験のない顧問教員の割合が半数以上を占めるなど、生徒が専門的な指導を受けにくいという課題があります。そこで、地域人材を確保し、経験のある指導員から教えてもらえる環境を整え、2026年までの全市展開を目指しています。

<静岡市教委 学校教育課 古牧大輔指導主事>

「子どもたちが自分の好きな種目を思いっきり楽しんで、仲間とともに活性できる場所を部活動という形は変わるんですけど、それを維持したい。学校だけではなく、地域の皆さんとともに支えていけたらなと思います」

ただ、部活動はあくまで学校教育の一環。竹下さんは、教育者としての学校教諭の存在は欠かせないと話します。

<地域指導員 竹下篤さん>

「普段の子どもたちの生活態度は先生でなければわからないので、自分たちはグラウンドでの顔しか知らないという面もありますので、常に先生と情報共有していかない限りは難しいのではと思います」

一筋縄ではいかない多くの課題がある中、地域資源を活かした持続可能な部活動の形を模索しています。

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