「中小企業しっかり支援」 長崎商工会議所 新会頭・森拓二郎氏 就任会見

就任後の会見で抱負を述べる森新会頭=長崎市桜町、長崎商工会議所

 長崎商工会議所の新会頭に、十八親和銀行の森拓二郎会長(67)が1日付で就任した。就任後の記者会見では、観光振興や九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化など幅広い課題の解決に向けて意欲を示した。報道陣との主なやりとりは以下の通り。

 -自身のキャリアや強みを生かし、特に力を入れたいことは。

 中小企業へのきめ細かな経営支援にしっかり取り組みたい。新型コロナ禍の影響が続く中、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済を始める事業所が増え、経営状況が厳しくなるかもしれない。今後、ますます支援が必要となるだろう。

 -観光やインバウンドの展望は。

 「ゼロコロナ」政策が続く中国からのインバウンドは、当面期待できない。欧米の観光客に照準を合わせることになる。欧米からの旅行者は、滞在期間が長い特徴がある。本県は、そうした人々へ訴求するコンテンツには事欠かない。買い物以外にも、さまざまな目的で訪問する人たちを迎えられるような環境整備をしたい。西九州新幹線の開業で国内でも長崎が注目されている。来た人に『長崎は居心地が良かった。もう一度来たい』と思ってもらうために、食や観光資源など磨くべき分野はまだまだある。ポストコロナは大チャンスだと思うので、準備していきたい。

 -九州新幹線長崎ルートのフル規格化に向けた具体的な活動は。

 開業1カ月で20万人近くが利用し、非常にいい出だしだと思う。開業効果を一過性に終わらせず、継続的にしていくことが必要だ。(新鳥栖-武雄温泉間の整備方式が決まらない)現状は、国レベルの議論になっているが、それでも民間の声を大きくしていくのは重要。佐賀の経済団体と意見交換の機会を増やし、全線フル規格化への機運を盛り上げていきたい。

 -「100年に1度」とされる市内のまちづくりへの関与は。

 次世代に活力あるまちを残すため、会議所として責任ある議論を重ねる。昨今の都市構想は、駅周辺や臨港部への投資が集中し、中心商店街の空洞化が懸念をされる。まちなかエリアとの回遊性を高めるためのソフト対策が重要。駅からの2次交通整備や商店街が連携したにぎわい創出事業を検討する。(駅周辺とまちなかの間に位置する)旧県庁舎跡地活用についても、回遊性促進や県内観光情報発信の拠点にする、という会議所の提案実現に引き続き取り組む。


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