黒澤明監督の創作原点たどる 脚本家部分に焦点当て 国立映画アーカイブで27日まで企画展

映画「デルス・ウザーラ」(1975年)完成時の寄せ書き(手前)、「乱」(85年)の直筆原稿(奥)などが展示された会場=東京都中央区の国立映画アーカイブ

 映画監督・黒澤明の創作の原点に迫る企画展「脚本家 黒澤明」が、国立映画アーカイブ(東京都中央区)で開かれている。脚本家としての黒澤に焦点を当て、展覧会に協力した研究チームの調査に基づき黒澤作品がバルザックや旧ソ連の文学からも影響を受けていたことを紹介、脚本など約150点を展示している。11月27日まで。

 黒澤に影響を与え、映画化につながった文学者はドストエフスキー、シェイクスピア、山本周五郎などが知られる。会場ではフランスの作家バルザックの小説技法を黒澤自身が記したノートを紹介し、バルザック原作の映画企画書も展示している。

 世界的傑作「七人の侍」(1954年)の脚本構想の際、旧ソ連の作家ファジェーエフの小説「壊滅」(29年)の展開や登場人物を参考にしたことが分かる創作ノートの一部、農民出身の侍・菊千代(三船敏郎)のモデルが「壊滅」とトルストイの「戦争と平和」の登場人物だったとみられる研究成果も並んだ。

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