【新日本 大張社長インタビュー】<第3弾>プロレス協会や新日本プロレスの可能性・経営哲学について言及!「業界で政府との窓口は作りつつある」「hidden gemとCRMを整備」「利益を上げることは手段」

プロレスへの熱い思いとキャリアを活かした現実面への鋭い分析を武器に奮闘中の新日本プロレス大張高己社長へのロングインタビュー。第1弾では「プロレスラーになりたかった」第2弾では「国内・海外戦略」等の話を展開してきた。

第3弾では「プロレス協会」に関する話や新日本プロレスの可能性、自身の経営哲学とプロレスビジネスの面白さについて話を伺った。完結編となる本編で大張社長のさらなる思いを確かめて欲しい。

**【プロレス協会の立上げについて】

**

--先日の超党派格闘技プロレス総合格闘技の振興議員連盟の中で、冒頭に馳議員の方から大張社長らプロレス関係者の方々に向けて「プロレス団体も何かそういう繋がりがあるような一つの協会みたいなものを立ち上げていただけないか」というような進言があった際に、大張社長から「実はいいお話があります」と冒頭で「そういう繋がりを持って今動いている最中です」というようなお話がありましたので、プロレスマスコミとしてもですね、やっぱり長年そういう協会みたいなものがいずれできないかなというふうに期待はずっとしてたものの、なかなか皆さんがまとまって行動できる機会っていうのがなかったのが、この今回のコロナを通じて一つになることによって恩恵を受けたり、セーフティネットに繋がるようなものの活動ができるんじゃないかなということで、お話できる範囲で教えていただければと思います。

大張 高己社長(以下 大張社長) プロレスを心に秘めて育ってきた世の中の人ってものすごく多いっていう話はしましたけど、たくさんの人がプロレスのおかげでいろんなことを乗り越えられた。そして一方で、完全に偏見かもしれませんが、仮に40代以上の男性に新日派?全日派?って聞いたらだいたい答えられると思います。そのぐらい、プロレスというもの、それからプロレスの会社に関する知名度、理解はものすごく大きいと思うんです。「最近見てないけどね、俺はあのときの猪木さんが好きだったから新日本だったな」って言えるじゃないですか。

--言えますね確実に。

大張社長 そんな国って他にありますかね(笑)一方で、“収益分の知名度”みたいな話があるとしたら、それはそれはすごい倍率になりません?

--そうですね。

大張社長 ですよね。それぐらいね、知名度に比べて会社としては弱い、業界としては弱いんですよ。裏返せば、ポテンシャルがものすごい。本当、世の中のビジネス構造マップみたいなのが、GDPを分解して作ったとして、プロレス事業ってどれぐらいになるんだろうと。ないに等しいじゃないですか。だけど、みんな大事にしてくれてるものじゃないですか。人生に影響を与えた業界でマップを作れば相当大きな円が書ける。たぶんすごく世の中的に大事だし、でも吹けば飛ぶように弱いし、これどうしたらいいかなって思って。もちろん過去には、外から見てた人間ですけど、こういった業界団体構想が生まれては消え、という、そういう営みはよく存じ上げてはいます。このコロナの影響の中でなんとか生きながらえるために、業界横串で、力を合わせるべきことがあるんだろうと。決して全部じゃないですね。健全な競争があってのビジネスの成長なので。その中で一番大事だと思ったのが、政府と業界をちゃんとつなぐ窓口なんですよ。

馳議員のお話もありましたけど「じゃ誰に話したらいいの、業界ナンバーワンのところに話せばいいの?」とか、馳先生も試合やられますからね時々。じゃあ俺が上がってる団体に話せばいいの?とか、考え方次第で連絡先がバラバラになってしまいますからね。漏れも出る。だから、ちゃんとした窓口を作りたい。政府の意向・考えっていうものをちゃんと迅速に聞ける窓口かつ、こっちの状況、新日本プロレスだけじゃなくて、プロレス業界の状況を正確に捉えて伝える。伝わるところまでやることが今一番大事だろうと思っています。連絡は取れるようになってるので、今の形でもいいのかもしれませんし。目立つためにやるわけではないので、そういう名前や形にはこだわらないですけど、ちゃんと業界の実益になる、当面の課題としては、ファンの皆様が大事にしてくれるプロレスを、しっかりコロナから守る。そういう機能を持ちたいというのが、目指している業界団体の意図ですね。

--ここでその政府とのパイプ、ちゃんとした窓口っていう機能はあると思うんですけど。それ以外に何か一緒に設けていきたいような、例えば選手のレベルの一定標準化、プロと呼ばれる、っていうものにも着手されるんでしょうか。

大張社長 いち生活者としてもレスラーは、24時間プロレスラーですけど、いろんなリスクがあるわけじゃないですか。病気のリスク、コロナのリスクあるし、SNSにもメリットとリスクがあるし、反社会的なところとの関わりのリスクもある。そういったものが仮に何かあった時にね、よくありますよねプロレスラーが暴行致傷とかね。決して有名なレスラーの件ではなくても大きく報道されてしまうことが多々ある。先ほど申し上げた、業界が小さいから、でも知名度高いから、ということです。だから、安心してレスラーがプロレスに集中できるような、環境作りやボトムアップにつながる講習等もやっていきたいなとは思いますよ。

--なるほどですね。ありがとうございます。協会としては、日本では本当にもうすごい数の団体が、私たちですら把握できないぐらいの数があるんですけど、どこまでをこうプロの団体としてその認定というんですかね、そこはちょっとまだ難しいですかね。

大張社長 まずはあの場に集まった7団体ですね。しっかり7団体で形を作らないことには、乗っていい船かどうかもわからないでしょうからね。

--特にその健全なその競争という部分で考えると、日程調整とか、会場のその使用の何とかっていうのは特には調整するようなことはないという感じですかね。興行戦争と呼ばれるようなものだとか。

大張社長 そこが競争の根源であり、各団体が何十年もかけて、その優位性にこそ最大の投資をして築いてきているわけです。その競争があるから、洗練されて伸びて強くなるんだと思います。その健全な競争を大前提として、協力し合える部分からでしょうかね。

--なるほど。ちなみにいつぐらいにこれをスタートできそうな感じでしょうか?

大張社長 年明けから、業界の皆さんにはいついつこういう形で第一回やりましょうかっていう話はしたいとは思ってますね。1月とも言えないし2月とも言えないですけど。

--いま動いているという、そういう認識でいいですよね。

大張社長 はい。そうですね。政府との窓口っていう意味では、しっかり作りつつあるので、我々から出た情報、アナウンスもらった情報を皆さんにお渡しするという活動、逆に政府への要望をまとめ伝達していくような活動は、既に開始してます。

--ありがとうございます。

⇒次ページ:新日本プロレスの可能性

【新日本プロレス今後の可能性】

--今までの話の中でも新日本プロレスの可能性というのは非常に大きく私も感じていますが、改めて大張社長がコロナはいずれ収束したとして、今後の可能性というのはいかにお考えでしょうか?

大張社長 英語で言うとhidden gemって言うんですけどね。隠れた宝石です。ファンにとっては隠れていないけど、世間から見れば隠れています。定量的に言うと、今年の1.4&1.5に関係するツイートの露出の数を見てたんですね。インプレッション数を重要視しているんですが、要はさっき言った横への広がりがどれぐらいあるかと見ていくと、この去年10月から今年の1月末まで、ダブルドームの関連記事としての#NJWK14もしくは#NJPWのハッシュタグでインプレッション数ですよ。約50億あるんですよ。Twitterで延べ50億回表示されているわけです。

--すごいですね。

大張社長 地球の人口どれぐらいでしょうか。70億人ぐらいですか。それに近い、地球規模ですよ。いち日本の中小企業が。50億のインプレッション、正確には47億8000万。逆に弊社は広告主でもあるわけです。相場いろいろあるんですけど、広告出すのに1インプレッション幾らですかっていうところに掛け算してもらったらわかりやすいと思うんですよね。0.何円のときもあるけど、何円かかかる、整数円かかるときもあって。仮に1円だとしたらですよ、50億円の価値があるわけですよ。そのぐらいの価格で売れるブランドだっていうことですよね。スポンサーさんにとって、例えば冠協賛やってハッシュタグと共に露出してもらえれば。以前からもご縁あって今回のドーム大会はLECさん、バルサンさんに出してもらってますけど、費用対効果で言っても相当の価値をご提供できるわけですよね。BtoBはここまで触れてこなかったので、敢えてこのテーマでお話ししましたが、メディア価値としてみても、今後の可能性や秘めた可能性はものすごくありますね。

--なるほど、確かにその数字の部分で言われるとすごいな、これっていう。

大張社長 鍛え上げられた選手と彼らの戦い、それを伝えるテレビ、ワールド、各種メディアの調和で生まれるので、この事業の価値は簡単にコピーできません。そういった意味でとても誇れる数字ですね。この定量化の仕組みは経営企画部長になってからずっと整備ようと思っていたところに広報宣伝部から提案がきて、コレだと。だからどの大会のどのハッシュタグが、誰にどんなインフルエンサーによってどれぐらい世の中に伝えられているかっていうのを…お見せしましょうか。

--ありがとうございます。

大張社長 こうやって、、はい。ドーム前後でこう広がるわけですよね。

--あの世界トレンド1位とかにもなっててね。これはすごいなあ。

大張社長 あと取り組んでるっていう意味では、まず可能性を知って、広げるために取り組んでるっていうのが、CRMなんですよ。カスタマー・リレーションシップ・マネジメント、これはやっぱり歴史が長い会社だからよくあることなんですが、サービスごとに商品ごとにお客さんとの接点が独立するんです。どうしてもね、チケットセールスとか、ネット、ワールドとか、ECとか、それぞれが生まれた時期が違うので、それぞれで個別最適なデータベースを持ってしまう。私もファンでしたから、多分会社にファンとしての私は5人ぐらい存在してることになってるんですよ(笑) でもその人はもちろん1人で、新日本が好きで、ある選手やユニットが好きで、例えば広島に住んでいて、だから広島サンプラザに今日行くんです。っていう人、でもチケット購入だけ捉えるとその人は何で来たか次どんな行動をしてくれるのかわからないじゃないですか。ストーリーが見えない。いわゆるIDがしっかり中で統合されていたら、この人、棚橋選手のグッズいっぱい買ってくれてるから、棚橋選手が出場する大会だったら、隣の山口県で行われる時もプッシュしてみようかな。画一的なメルマガでやろうとしても、後楽園のチケットプロモを広島に住む私に送っても意味がないし、トップの選手、メインの選手だけ出すのではなく、EC等からわかっているその人の好きな選手をトップに表示していく。そういうカスタマイズしていくために、土台としてまずCRMを中で整備したんですね。

--あ、そうなんですね。

大張社長 そしてここから先は、マーケティングオートメーションです。今言ったような動きができるように、つまり、趣味嗜好に合わせて1人1人にメール書くわけにはいかないので、そこはオートで一番喜んでもらえるような情報を個々に出していく、という段階に入っていきます。

--確かにそうですね、その団体が好きだっていう人もいますけど、この選手が好きだっていう、トップ選手以外の人が好きだっていう人が大勢いますもんね。

大張社長 弊社のWebサイトには毎試合、記事がありますよね。新鮮で興味深い情報のストックはあります。例えば-O-カーン選手が好きな人は-O-カーン選手関連のタイトルや記事をトップに配置したメールなら開封したくなるし読みたくもなる。「-O-カーン、誰々と対決」と出してもらったら、時間のない中でも、情報があふれた中でも、お客様に動いてもらえますよね。フリーサイズのようなアプローチではない、自動でオーダーメイドできる技術に、現実的なコストで手が届く時代になりました。

--なるほど。

大張社長 デジタルマーケティングは興味深いですよ。(画面を見せながら)これはECのトランザクションなんですけど、地図上の円の大きさが各都道府県のトランザクション数。たとえば東京は頻繁に会場にも行けるし、水道橋(闘魂ショップ)も行けますから、ECに頼る必要ないような気がしますが、東京が一番大きな円になっていますよね。

--やっぱり市場がやっぱ大きいんですね東京は。

大張社長 そういったデータを更に深堀して法則を見出していくことで、開発や売り方に生かしていくわけです。

--確かにもう今後そういうデーターベースマーケティングみたいな形で、個々のデータをうまく紐付けしながら、CRM活動にうまく載せていくっていう感じですかね。

大張社長 そうですね、それを世界規模で。この画面は会員の分析ですが、海外で言うと、やっぱりアメリカが大きいですよね。こんなに世界中でファンがいるんですよね、興行の候補地を検討する際にも使えます。日本の次にファンの数が多いのは、アメリカ、イギリス、オーストラリア、聞いたことないですか試合やったのは(笑) というような感じです。

--なるほど。

大張社長 現状のサービス改善だけでなく、どれぐらいチケット売れるかなっていうことを考えるためにも使えますね。このCRMのベースになる仕組みを入れたのが昨年だと思います。

--そういうデータを整備しながら、次のその一手を打つっていうところではかなり先鋭化された組織体になってきてるというイメージですね。

大張社長 そうですね、それぞれプロなんで、横ぐしでコーディネートする、プロマネする人間っていうのをまだ育てなきゃいけないですけど、それぞれの社員がスペシャリストとして持ってるものがすごいです。

--なるほど。ありがとうございます。

⇒次ページ:経営哲学とプロレスビジネスの面白さ

【経営哲学(ビジネス観点で大事にしている事)】

--大張社長が個人として、ビジネス観点で大事にしている経営哲学的なものがあれば教えていただきたいなと思います。

大張社長 いい質問だな…ずっと残るやつですね。

--(笑)そうですね。うちのインタビューはロングインタビューで、ずっと載せれるようなものを目指してますので。

大張社長 まず、これは実体験もそうだし、海外でしこたま学んだ経営学でもそうなんですけど。一番大事なのは、“Integrity”って言葉なんですけど、日本語で言うとですね、“誠実さ”です。反対の言葉は私利私欲なんです。つまり、この新日本プロレスに捧げられるかということが問われる。自分自身からも含めて360度から問われると思うんです。どこにいても。だから、トップがやっているのが自分の私利私欲のための言動なら、組織はもうパラパラ、粉々になると思うんですよね。特にプロレスには過去、分裂の歴史がありますよね。

--ありますね。

大張社長 過去の分裂の歴史全てが“誠実さ”の欠如によって引き起こされたとは思わないですが、そうならないためにも一番大事にしたい言葉です。どの会社を経営するのも多分そう、トップに立つ人は誠実さを持ってなきゃいけない。言葉遊びじゃなく、一緒になって戦ってくれるお客さんや仲間がいて、その人たちを裏切るような行為はしないし、社員や選手を大事にして、そして何よりも新日本プロレスっていうのをあと50年、100年続くように全てを捧げるっていうことだと思いますね。

--いやあ、すごくいい言葉だと思いますね。僕もこういうのすごく好きです。自分も経営者で独立して今の事業をさせて頂いてますが、やっぱり誠実さってすごく大事ですよね。

大張社長 大事です。トップに立つと上や横から忠告してくれる人が減るので、その孤独の中で特に肝に銘じておくべき言葉です。

--見てますよね周りがね。

**【経営者としてプロレスビジネスの面白さ】

**

--そして経営者として今までのお話の中でもですね、もうすごいプロレス愛にあふれるようなお話を伺ってますけれども、経営者としてプロレスビジネスっていうのが大変なことも多かったと思うんですけれども、改めてプロレスビジネスの面白さっていう点を教えていただきたいなと思います。

大張社長 先ほどの経営哲学と重なる部分があるかもしれません。私は「利益を上げることは手段」だと思ってるんです。これは長年かかってたどり着きました。13年前にアメリカ留学から帰ってきて、企業のゴールは企業価値を上げること、持続的に成長する利益だと。完全に妄信してました。前の会社で上司に噛みついたことすらありました。CSRの目的とは何かを議論していた時に、私は全ての企業活動は利益のためだと噛み付いたことあるんですよ。でも、今はこれが間違っていたと思っています。利益は手段だと思います。会社の存在意義、社会的な存在意義を果たす。強化する、続けるための手段、と思うようになったんですね、数年前から。プロレスにはとてつもなく大きな存在意義と果たすべき使命があるじゃないですか。特に、今はコロナの影響に耐えて立ち上がるため、さかのぼれば70年も前、日本が戦後復興してくる時に伴走してきたのは、街頭テレビ、力道山先生、プロレス。苦しい時こそ。その存在意義が問われて。そして、何でしょう、またその先まで伸びてくものだと思うので、私は特にプロレスというビジネスにとって、利益は手段だという信念を強めています。でも、利益はすごく大事なんです。利益をちゃんと稼ぎながら、このプロレスが果たす意義を、今こそより強めて広げて続けていくことに全力を挙げていく。これが、プロレスビジネスの面白さだと思います。お客様から、社会から欲せられているもの。プロレスはね、今こそ求められてるんですよ。真価の発揮時です。だから、それを体現するプロレスラーって、本当にかっこいいんですよ。

--ファンはプロレスから力をいただいてるんで、すごく求めてるものが大きいと思います。

大張社長 一方で、プロレスだからといって、情熱だけで経営したらそれは失敗します。そこに、ちゃんと頭の中で整理されたそのビジネスの鉄則が大事なんです。私は引き出しに例えるんです、タンスの引き出し。例えば、新聞だって何だって意識がなかったら頭に残らないじゃないすか。その意識と引き出しがちゃんと揃えられた状態のところに情報が入ってこないと、生かせないんですよね。今日日経平均が2万円から2万100円になりましたって、数字の羅列じゃないですか。意識が釣り針みたいに機能して、情報を引っ掛けてくる。そして、ラベル付けされた引き出しに入れとくんですよ。だからプロレスに対する愛とかプロレスを見る目とかも大事だけど、それをビジネスに分解して、結局収入ーコストが利益なんで。利益の何倍かで、会社の価値って決まってくるということなので、ちゃんとビジネスの構造に分解して、納めていって引き出していって、ができる人間がマネジメントしないといけない。だから面白さを問われると、そういう自分が今まで育ったバックグラウンド、スポーツ、プロレス、それからグローバルの面、あとIT。20年以上IT業界で生きてきましたし、そういったバックグラウンドを使って、ファン目線だけやプロレス目線だけで見ると見逃しがちな事象をとらえて因数分解して、新しい形のビジネスに組み上げていく点ですかね。選手社員で全力尽くして届くかどうかわからないレベルを目指してやっていますので、簡単ではないんですけどね。

--なるほど。どうもありがとうございます。今まさにコロナ禍で新日本プロレスも窮地に立たされてるときのリーダーシップを発揮するっていう意味では大張社長にかかるプレッシャーや期待値はもう業界全体から非常に高いものだと思います。

大張社長 日本のプロレスは勇気を持って自信も持っていいと思います。大昔に大学で教育学を専攻した私の勝手な説ですけど、学校の義務教育課程の中で必修科目に武道が入ってる国ってそんなにないでしょう。

--確かに言われてみればそうですね。

大張社長 必修科目ですよ。柔道や剣道。平成20年度くらいから選択科目から必修科目に入ったんでしょうかね。それまでも実質やってるんですよ。日本のプロレスが素晴らしいのは、会場に来てる人、テレビ見てる人、みんなそういう教育を受けた方々だということなんです。受身とったり、投げられたり、間合いを取ったり、ご経験ありますよね。

--ハイ、もちろんあります。

大張社長 男性だけでなく、女性でも学校その他で武道を経験したことがある方、多いのではないでしょうか。そういうファンの目に囲まれて育ってきた日本のプロレスは、世界的に見て誇れるレベルになっているのは当然。必ず生き残る、勝ち残ると思います。ちゃんと本質に目を向けてもらえれば。だからリーダーシップ論の前に、既に先人たちが今までやってきた積み重ねは、このプロレス界の財産になってると思います。それを、要は商品はいい、あとは売り方ですよね。商品の売り方を、我々背広を着てる人たちが必死に追求するという分担です。中身は世界最高のレスラー達が命がけでやってくれている。そこには自信を持って、コロナの影響でちょっと膝カックンになったかもしれないですが、もう一回立ち上がったときには前より格段に背が伸びてますよ。今はその仕込み作業の時期です。

--今日のお話を伺って、本当に今の仕込み具合だとかこれからのネクストが、何かすごく期待できるようなお話をいろいろと伺えたので、新日本プロレスさんの期待値がまた上がりました。今日はどうもありがとうございました。

大張社長 はい。ありがとうございました。こちらこそ。

<大張社長 略歴>

=================大張 高己(おおばり たかみ)
1974年8月15日生
University of California Irvine: Paul Merage School of Business卒

1997年4月 日本電信電話(株)入社
2018年12月 (株)ブシロード入社 執行役員(現任)
2019年1月 新日本プロレスリング㈱ 経営企画部長(現任)
2019年11月 New Japan Pro-Wrestling of America Inc. CEO(現任)
2020年10月 新日本プロレスリング㈱ 代表取締役社長(現任)

=================

(インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳) <インタビュー第1弾>新社長の抱負、東京ドーム大会に向けての意気込みを語る! <インタビュー第2弾>2021年の国内・海外戦略とマーケット予測を熱弁!

© 株式会社リアルクロス