沖縄北部のマングース「低密度を維持」 2021年度、防止柵より北で46匹を捕獲

 環境省と沖縄県は10月28日、沖縄島北部での特定外来生物「フィリマングース」の2021年度防除事業の結果を発表した。大宜味村塩屋―東村・福地ダムに設けられた第1北上防止柵(SFライン)以北でのマングース捕獲数は46匹で、世界自然遺産登録地がある地域での完全排除に向けて低密度な状態を維持しているとした。ヤンバルクイナが生息域をSFラインより南に拡大させていることも初めて確認された。

 21年度、環境省が行うSFライン以北での防除では、わなにより39匹、探索犬により7匹が捕獲された。同区域で最も多かった捕獲数は07年度619匹で、13分の1まで減った。やんばる自然保護官事務所は「20年度の33匹より増えたが、長期的にみると捕獲数は減り、捕獲範囲も縮まっている」と説明した。

 県が行うSFラインより南、名護市源河―東村有銘の第3北上防止柵の以北の2区域での防除では、計444匹が捕獲された。県環境部自然保護課は「SFライン以北への侵入を防ぐための2区域でも低密度化が進んでいる」と説明した。

 マングースの侵入と同時期に生息域を縮小させ、生息数も減少していたヤンバルクイナについて、やんばる自然保護官事務所は「国頭から東、大宜味北部にかけて回復しつつある」と指摘。オキナワトゲネズミといった小型哺乳類、オキナワイシカワガエルといった希少カエル類も生息拡大が確認された。

 環境省と県は2000年度から北部での防除事業を連携・協力して行っている。

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