“信仰の実像を探る” 平戸でシンポジウム キリシタン遺産登録4周年記念

キリシタン信仰の実像を探ったシンポジウム=平戸市生月町

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録4周年を記念したシンポジウム「キリシタンと日本」が6日、平戸市生月町離島開発総合センターで開かれ、第一線で活躍するキリシタン研究者が信仰の実像を探ろうと意見を交わした。
 県と同遺産保存活用実行委主催、長崎新聞社など後援。県内外から約200人が来場した。
 市生月町博物館・島の館の中園成生学芸員は「禁教後、指導者を失ったかくれキリシタン信者は宣教師が残した教えを継承し、仏教や神道と併存した」と解説。引き続き、岡美穂子東京大史料編纂(へんさん)所・大学院情報学環兼任准教授ら専門家3人がそれぞれ報告した後、パネル討議した。
 大橋幸泰早稲田大教育・総合科学学術院教授は「信者は仏教や神道と併存する寛容さを持っていたが、為政者や非信者にも寛容さがあり、それぞれが一つの立場・属性だけに縛られていたのではない」とかくれキリシタン信者の信仰の本質について考えを述べた。
 シンポの冒頭と最後に、かくれキリシタン信者が受け継ぐ「唄オラショ(祈り)」を生月島壱部、山田両地区の信者が披露した。

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