水おけでばたつく鳥、救い出した後もぐったりと…溺れたヤンバルクイナを救助した夫婦「初めてで驚いた」

溺れて死ぬヤンバルクイナも「飛べない鳥」の受難…からの続き

 東村高江の畑の水おけで溺れているところを救助されたヤンバルクイナは、衰弱した状態で見つかった。タンカン農家を営む喜屋武盛祥(せいしょう)さん(82)、裕子さん(82)夫妻は9月28日午後5時ごろ、その日の作業を終えて畑で使った長靴を洗おうと水おけに近づいた時、中でばたつく鳥に気づいた。
 「はじめはカラスだと思った」が、よく見るとヤンバルクイナ。水おけから救い出して地上に放したが、逃げ出す力もないようでぐったりとして動かない。「このままだと死ぬかもしれない」。番号案内から環境省やんばる野生生物保護センターを探し出して通報した。
 ヤンバルクイナが生息する東村高江でタンカン農家を営んで27年。農道を連なって渡るヤンバルクイナの親子の姿を見かけることも少なくなく、あわや接触事故を起こしそうになったこともある。ヤンバルクイナが道に出そうな時季はスピードを抑えて運転しているが、水おけで溺れているのは「初めてで驚いた」という。
 畑には水おけが五つあるが、事故があったその日に全ての水おけに太い木の枝を入れた。ヤンバルクイナが脱出するための足場だ。「世界でもやんばるにしかいない鳥だ。周りにも対策を呼び掛けたい」  放鳥にも立ち会った喜屋武さん夫妻は「元気になってよかった。みんなで大事にしていきたい」と喜んだ。
 放鳥後、仲間の無事を喜び、関係者の尽力に感謝するように、ヤンバルクイナたちの鳴き声がしばらく辺りに響いていたという。  (安里周悟)
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