人・食・工芸・作品の文化交流イベント。2022年で16回目になる「高梁川マルシェ」に行ってきました

「高梁川マルシェ〜阿知町界隈文化祭〜」は、江戸時代中期に建てられた国指定重要文化財である大橋家住宅を主会場、倉敷市阿知町通り周辺で開催されるマルシェイベントです。

今年(2022年)で16回目だそうで、2012年に始まり初期は年に複数回開催、現在は年1回開催されています。

2022年は10月8日・9日の2日間にわたって開催されていたので、散歩がてら私も足を運んでみました。

大橋家住宅・歩行者天国の商店街通りが各種ブースで賑わう

メイン会場となる大橋家住宅の中は、一見すると手作りの工芸品が多いように感じます。

しかし、内部では花を使ったワークショップを実施している「工房花好」さん、地元の特産品であるい草や畳縁を使った作品を販売しているブースなど、ジャンルの異なる20以上のブースが並んでいました。

また、歩行者天国になった商店街通りのいたるところにも、美味しそうな飲食ブースも含めた、楽しげなイベントブースが並んでいました。

パンフレットのデザイン画は武才さん

例年パンフレットの表紙のデザイン画を担当されている、武 才(たけ たえ)さんに話を聞きました。

武さんは、2013年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業したのち、2016年からは岡山で活動をしており、高梁川マルシェのパンフレットデザインは2022年度で4回目です。

「町ぐるみで開催されるイベントの一体感や人のあたたかさが印象的で、参加する度にパワーをいただけるこの感覚を忘れず大切にしていきたい、という思いで銅版画の技法を使って制作しました」

とのこと。

そのイメージどおり会場のあちこちのブースでは、訪れたかたも楽しげに話をしているようでした。

倉敷芸術科学大学の学生さんによるガラスアート作品

大橋家住宅の座敷の上り口で最初に目に留まったのは、机の上に置かれた「ビニール袋」でした。

当日はそれほど暑い日ではありませんでしたが、「来場者が置き忘れたカチ割り氷かな」と思い、手を伸ばしてみると……。

なんと、ひんやりした「ガラスの作品」

この作品は、倉敷芸術科学大学の学生さんによるガラスアート作品だったようで、そのアイディアと出来栄えに驚きです。

他にも、吹きガラスによるガラス食器などの工芸品が数多く並んでおり、ガラスアート作品の後ろには、パンフレットに使われていた武さんの版画も展示されていました。

陶磁工房よし野「ココロの住人」

庭に出てみると、たくさんの妖精が出迎えてくれました。

この作品は、岡山県矢掛町で陶磁器を作っている「陶磁工房よし野」が展示。

磁器の妖精たちで「ココロの住人」というそうです。

制作は陶芸家の横山ゆきえさん。

一体ごとに個性的な表情で、とても暖かい感じのする住人でした。

この作品は、磁器の制作過程で大量に出る「削りカス」を使っているとのこと。

「長年無駄にしている削りカスを減らすことができないか、という悩みを『ココロの住人』に解消してもらおう、との思いで制作している」

と話してもらいました。

それでも、削りカスは減らないようです。

おわりに

2022年で16回目の開催となる高梁川マルシェは、歴史ある大橋家住宅のイメージとマッチした落ち着いた雰囲気のある、とても魅力的なイベントでした。

工芸作品が数多く展示のほかにも、地元の食材を使った飲食ブースや体験イベントの出店もあり、商店街全体にも縁日のような雰囲気が漂い、数多くの参加者が楽しんでいるようすが伝わります。

私はここ数年、このイベントに足を運んでいますが、毎年少しずつ形を変えて規模も拡張されているようです

これも、地域を活性化するための町ぐるみのイベントとして、主催者や参加されるかたの長年にわたる深い思いを感じることができました。

次回以降の開催も楽しみです。

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