「鎌倉殿の13人」市原隼人と坂東彌十郎が明かす、役柄への深い愛

小栗旬が主演を務める、NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8:00ほか)で、八田知家役を演じた市原隼人、北条時政役の坂東彌十郎からコメントが寄せられた。

三谷幸喜が脚本を担当する「鎌倉殿の13人」は、源頼朝(大泉洋)の妻となった北条政子(小池栄子)の弟・北条義時(小栗)を主人公に、地方の豪族から頼朝の第一の側近となった義時が、その後いかにして頂点に上りつめたのかを、鎌倉幕府を支えた武士たちの姿を絡めて映し出す。11月6日放送・第42回「夢のゆくえ」では、自らの引退を決めた八田と、時政の最後の姿が描かれた。

市原は八田のキャラクターについて、「自分ではない誰かの思想で未来を決めるのではなく、己の道を自分で決めていくというのが八田らしいなと思いました。どの時代も、時代につくられてしまう人間が多いと思うんです。その中で、時代につくられるのか、時代をつくるのかというと、八田は『自ら時代をつくってやろう』と。存在意義を、精いっぱい旗を振りながら『俺はここで生きているんだ』というのを、必死に汗をかいて。それが決して押しつけではなく、誰かに認めてほしいわけでもないと思うんです。自分を納得させるために自分で自分の生き方を選ぶ、自分の主君は自分である、という思いでずっと演じていました」と役作りに触れながら説明。

船を海に浮かべることができなかったことに関しては、「ロマンなんですよ。やっぱりなんでもロマンです」と語り、「こういう時代劇であっても、当時のことを知っている人間はいないんです。『日本人はこうであってほしい』という、ある意味ロマンが含まれていまして、それがまたNHK大河ドラマなりのロマンを描かせていただいているわけで、その中の八田知家というのは、それもまた八田知家が思うロマンですので。『こうなりたい』『こうしたい』という思いももちろん大事なんですけど、そこに向かっていく思いが一番、自分を強くしてくれるんです。形ではなく目には見えないプロセスを一番大切にする八田としては、失敗だとか、できなかったということは思ってはいないのではないでしょうか。まだまだこれからやり続ければ、途中で終わったということはないですし、諦めなければいつかは成功すると思いますので、そんな思いでやっていました」と解釈を話した。

そして、八田として過ごした時間を振り返り、「人生で一番悩みました。難しかったです。この役は本当に難しかったです。ただ、この八田知家という役を通じて、今回この『鎌倉殿の13人』、こんなに愛をもらえるとは思っていなかったです。本当に死ぬほどうれしいです。何にも変えられない財産をいただきましたので、本当にすてきな、貴重な経験をさせていただいて心から感謝しています」とメッセージを寄せた。

また、彌十郎は「女性には苦労しない」時政の魅力を、「なんだろうな、真っすぐなところじゃないですかね。守ろうと思った女性は必ず守るというのは、やっぱり女性にも通じるんじゃないかな、という感じですよね。だから尽くしてくれるし、でもポンコツだから女性は甘えさせてくれない(笑)。そういう女性がきっと時政は好きなんでしょうね」と分析する。

最後に見せた、時政の笑顔に関しては「それはもう本当に、周りの人がつくってくれた笑顔で。泰時(坂口健太郎)が会いに来てくれて僕が目覚める時に、『…うん』って顔をじっと見て、『あれ…誰…?』と思っている間に、泰時がとてもいい笑顔をしてくれるんですよ。それでもう、昔の気持ちに戻れる部分もあるし、サツキ(磯山さやか)も言葉はきついけどやっぱり優しいし。伊豆にいた頃の北条の雰囲気が、またあそこに戻れたというのはやっぱり、時政が一番幸せだったということじゃないですかね」と解説。

加えて「ラストシーンは、いい終わり方。皆さん壮絶な死に方をなさっている中で、最後にこのホワンと柔らかいシーンで終われるというのは、きっと時政だけなんだと思いますよ。それを最後にプレゼントしてもらったような気がするので、これも三谷幸喜さんに感謝ですね」と、脚本の妙と率直な心境をを述べた。

時政を演じきり、「時政はダークというイメージを皆さんも持っていらっしゃっただろうし、僕ももともと持っていましたけども、一貫して家族のため、それから国のために頑張る。『それ以外はもうどうでもいいよ、ポンコツで』というところは最初から最後まできっと一貫していたんだなと思います。それが時政らしい、いいところだったなと思っています」と役柄への愛情を示した。

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