「移民の父」の足跡たどる 19日までみなべでパネル展

南部公民館で始まった松原安太郎さんの功績を伝えるパネル展(6日、和歌山県みなべ町芝で)

 和歌山県みなべ町出身で「戦後ブラジル移民の父」と呼ばれる松原安太郎さん(1892~1961)の足跡をたどるパネル展が6日から、同町芝の南部公民館ロビーで始まった。松原さんの奮闘の歴史や功績などを紹介する内容で、19日まで。開館時間は午前8時半~午後10時。23日~12月4日には田辺市でも開かれる。

 松原さんの生誕130周年記念顕彰事業実行委員会と県中南米交流協会主催。紀伊民報など共催。

 松原さんは岩代村(現みなべ町岩代地域)出身で、1918年に妻とブラジルに移住し、コーヒー栽培や牧畜の大農場主となった。第2次大戦後の日本を救うため、ブラジル大統領に働きかけ、戦後初の日本人移民を実現させた。それを国際協力機構(JICA)が引き継ぎ、計約6万人が移住した。

 パネル展では、松原さんの生涯や功績のほか、移民計画を支えた清川村(現みなべ町清川)出身の谷口文太郎さん(1911~2008)の生涯、移民3世のメッセージなどをパネル31枚を使って紹介している。

 初日に訪れた上富田町南紀の台の久保和生さん(54)は、谷口さんの妻なみえさんが大叔母になることから見に来たという。「谷口さんには小学生の頃に会ったことがあり、祖父からは移民の話を聞いていた。今回、松原さんについても詳しく知ることができて良かった」と話した。

 パネル展は10月に和歌山市で始まった。田辺市の会場は東陽の市文化交流センター「たなべる」。12月8~22日には御坊市財部の日高総合庁舎2階ギャラリーコーナーでも開かれる。

 実行委共同代表の一人、岩本恵子さんは「松原さんの生き方から多くのことを学んでもらえればと思う」と話している。

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