宇都宮市出身の作家立松和平(たてまつわへい)さん(1947~2010年)が小説に記した塩原温泉に関する一節を刻んだ文学碑が、那須塩原市の塩原渓谷沿いの旧道「大正浪漫街道」の回顧トンネルそばに完成した。7日に披露式が行われ、関係者ら約50人が見守った。
建立したのは塩原温泉観光協会。紅葉の名所の同街道沿いを歩いて文学に親しんでもらおうと、これまでにも塩原温泉ゆかりの作家の碑を建立しており、今回は6カ所目となる。
那須町特産の芦野石にはめ込んだ御影石に、アルツハイマー病を発症した妻を支える夫を描いた長編小説「人生のいちばん美しい場所で」の一節を刻んだ。
披露式で、塩原文学研究会の千葉昭彦(ちばあきひこ)会長(75)は「主人公は露天風呂で妻との新しい愛を感じ、2人で生きていこうという思いを強くした」と碑文について解説した。
来賓として出席した立松さんの長女で画家のやまなかももこさん(44)=東京都在住=は「父が亡くなって10年以上たつが、こうした形で作品が読み継がれていけばうれしい」と感謝していた。