ベビーカーでも入りやすいカフェに…妻の意見を取り入れたら思わぬ効果【ゆるパブ】

ベビーカーでも入りやすいカフェに…妻の意見を取り入れたら思わぬ効果【ゆるパブ】

15年ほど前に現在の店舗の2号店をオープンさせた経験からの話です。昔オープンさせた店舗は、ちょうど私の子供も生まれたばかりでベビーカーが必要でした。その経験から店舗設計の段階で、店内にベビーカーを押したまま入れるようにスロープを作ったり、ベビーカーを押したままトイレへ行けるように広いトイレにベビーベッドタイプのおむつ替え台を設置したりしました。

それは、私の妻が飲食店に行くのが大変だからそういった気配りがある店がいいなとアドバイスをくれたことがきっかけでした。そういったいきさつから、意図せずバリアフリーな環境の店舗を作ることができました。その後子供も大きくなりベビーカーは必要となくなりましたが、「お客様の声」から感謝や要望を聞くことができました。

想定と違った

私の想定していた顧客ターゲットは「30代~40代女性で小さな子供連れ」であったため、障害を持ったお客様は想定外でした。特に車いすの方からの予約が増えました。それから介助犬を連れてくるお客様も増えました。ありがたいことに定期的に来店してくれたり、団体で利用してくれたり、アドバイスや感謝の言葉をたくさんいただけました。

もしかしたら

私は特別なことはしていません。自分の都合でたまたまバリアフリー環境を作っただけです。障害を持った方と接する機会が増えいろいろなことを考えるようになりました。

もしかしたら、明日病気や事故で自分自身もハンディーを背負うかもしれません。また、年老いていけば目も耳も悪くなり歩けなることもあります。うまく話ができなくなるかもしれません。認知症になるかもしれません。その時に自分たちが困る状況より、少しでも楽に行動できる環境を整えていくべきだと私は思います。 接客で気を付けたこと

特別扱いはしません。普通のお客様と同じ対応ですが、できるだけゆっくり話したりスムーズに移動できるようになどは気を付けていました。また、介助者の方にどういう風にしたら喜んでもらえるかのアドバイスをいただいたりもしました。普通のお客様でも様々な要望をしてきます。例えば、「肉を細かくしてほしい」「箸ではなくスプーンやフォークが欲しい」「量を減らしてほしい」など、それに対応することと同じことです。

バリアフリー環境を作る

簡単にバリフリー環境といいますが、「段差をなくす」「手すりを付ける」「トイレをバリアフリー対応のものに変更する」などなど。かなり資金が必要になってきます。しかしなかなか資金をかけることができません。そこで「バリアフリー接客」を推進できるといいですね。「バリアフリー接客」とは、私がこれを書きながら考えた言葉ですが、とても単純な話です。車いすのお客様が来られたら、段差のある場所でスタッフが待ち構え段差をクリアするのを手伝うとかそういったレベルの物です。障害を持つお客様への対応をマニュアル化し、スタッフが対応できればいいのです。あと1つ資金のかからないものがあります。それは店頭の目立つ場所にバリアフリーマークを掲示することです。最低でもほじょ犬マークは入れましょう。そうすれば、この店舗は障害を持ったお客様に対し理解があることがすべてのお客様に伝わり障害を持っているお客様はその店には行きやすくなります。もちろん店内において障害を持ったお客様を差別する空気はできあがりませんし、例えば他のお客様から介助犬をみてクレームが来てもすぐに対応できます。

相手は遠慮している

私は普通に受け入れ気にしてなかったため後で知ったことなのですが、る「盲導犬・介助犬・聴導犬」などのほじょ犬(身体障害者補助犬のこと)の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできるさまざまな場所で受け入れるように義務づけられています。しかし、実際介助犬を連れているお客様はちゃんと連れて入っていいか聞いてきます。特に飲食店であるため遠慮しているのです。「犬だから」という理由で受け入れを拒否しないでください。

ほじょ犬連れのお客様以外も飲食店に対し気を使ってくれています。なぜなら障害をもつお客様のほとんどは必ず予約をしてくれます。車いすで来店するとか介助犬を連れているとかを予約の段階で必ず伝えてくれます。注文するメニュー内容まで先に伝えてくれる時もあります。また、混み合う時間をさけてくれることも多かったです。

特別視することが差別を生む

障害を持つお客様を特別扱いしないでください。できないことに対しちゃんと助けをもとめるのでその時対応するだけで大丈夫です。外食産業における障がい者接遇マニュアルにもこう書かれています。「障がいのあるなしに関わらず、一人の人間としてごく普通に接することが、人格の尊重につながります。さまざまな身体的特性や程度に応じたコミュニケーションに配慮する必要があります。」

外食産業における障がい者接遇マニュアル(https://www.jfnet.or.jp/files/jf_Barrierfree.pdf)一度読んでみてください。

gleen parlour ベルベール 平等 久盛

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【ゆるパブコラム】福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。ゆるパブメンバーを中心に執筆中。

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