宮田笙子選手の銅メダルに福井県から称賛の嵐「金以上の価値ある」 “体操王国”から初メダリスト誕生 世界選手権2022

女子平均台の表彰式で、金メダルの渡部葉月(左)と抱き合う銅メダルの宮田笙子=リバプール(共同)

 英国のリバプールで11月6日に行われた、体操の世界選手権の種目別平均台で銅メダルを獲得し、福井県勢初のメダリストとなった宮田笙子選手(福井県立鯖江高校3年、鯖江スクール)。その快挙に県内の体操関係者や同級生からは「金メダル以上の価値がある」「誇りに思う」などと称賛の声が上がった。

 福井県体操協会の小竹英雄会長(81)は鯖江高体操部創部から約60年、鯖江体操スクール設立から約40年という歴史を踏まえ「体操王国の鯖江からようやくメダリストが生まれた。歴史的価値がある」と声を弾ませた。体操競技に打ち込む県内の子どもたちをはじめ、他競技の選手にとっても「大きな刺激になる」と強調。さらに国内外の体操ファンの裾野拡大や、全国から鯖江高の門をたたく生徒が増えることにもつながるとして「金メダル以上の価値があるメダルだ」とたたえた。

 「強靱なメンタルと、日本代表としての自覚を感じた。仲間として友達として誇りに思う」と語るのは、宮田選手とともに鯖江高体操部で練習を重ねてきた長優里さん(3年)。平均台については「どれだけ練習しても落下する時があり、運みたいな部分がある。一番信用できない種目」と解説。決勝で海外選手がミスを連発する中、最終演技者で3位に入った点を「すごいとしか言いようがない。実力以上のものを持っていると思った」と大舞台での勝負強さにうなった。

 さらに、9日間という長期の大会でエースとして大車輪の活躍を見せていたことにも驚きつつ、「けがなく終わったことが本当に良かった。帰国してからはしっかり体を休めてほしい」と優しい心遣いを見せた。

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 宮田選手を普段から指導し、世界選手権に同行した鯖江スクールの田野辺満コーチ(52)=鯖江高体操部顧問=は「元々、平均台でメダルを狙う練習はしてこなかった」と明かし、「ものすごいプレッシャーの中、実力通りの力を出せていた」と精神面や安定感が勝負を分けたと分析。その上で「最終日までミスなくよく頑張っていた彼女に、最後にご褒美がきたなという印象」と振り返った。

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