プジョー9X8は軽量化、トヨタは出力微減の調整。WEC最終戦バーレーンのBoPが発表

 今週11月10日に開幕するWEC世界耐久選手権2022年シーズンのフィナーレに向け、ハイパーカークラスとLMGTEクラスのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が発表された。トップクラスを戦う『プジョー9X8』は、第6戦バーレーンで軽量化が認められた一方、前戦富士6時間レースで圧勝した『トヨタGR010ハイブリッド』は若干の出力制限を受けている。

 FIA国際自動車連盟が発表したハイパーカーBoPテーブルによると、プジョーの最低重量は1049kgとなっており、第5戦富士の設定から12kgの軽量化が図られている。一方、“ウイングレス”のハイパーカーはスティントあたりの最大エネルギー量が1MJ減り908MJとなった。

 アルピーヌと年間タイトルを争うトヨタ勢も最大エネルギー量の削減を受け、ワン・ツー・フィニッシュを飾った前戦比で4MJダウンの901MJに。また、パワーレベルでは最大4kW(約5.4PS)の出力制限が課せられた。

 フランスのメーカーが7月にモンツァでWECデビューして以来、LMH(ル・マン・ハイパーカー)メーカーのトヨタに対してBoPの変更を受けるのは、今回が初めてだ。ハイパーカークラスを戦う3台のLMH車両(そのうちの1台であるグリッケンハウスは富士戦を欠場)は、いずれも第5戦富士で18kgの軽量化を受けたが、これは異なる技術規定下で走行する旧型LMP1カー『アルピーヌA480・ギブソン』とのバランスを取るために使用された。

 そのアルピーヌは最終戦に向け、最大エネルギー量とパワーレベルの増加を獲得。前者は11MJアップの763MJに、後者は最大4kW(約5.4PS)の上昇となっている。

■GTEプロのフェラーリとコルベットに出力制限

 今季で幕を閉じるLMGTEプロカテゴリーで、選手権首位を走るジェームス・カラドとアレッサンドロ・ピエール・グイディが駆る『フェラーリ488 GTEエボ』、コルベット・レーシングの『シボレー・コルベットC8.R』は、いよいよ最後のレースとなるバーレーンに向けてパワーダウンを受けることとなった。

 今シーズンここまで2勝を挙げているAFコルセのフェラーリは、パワーレベルの全域でターボブーストの値が減少し、燃料タンク容量も1リットル減の91リットルとされた。

 同じくパフォーマンスが制限されるかたちの調整を受けたコルベットは、エアリストリクターがφ0.4mm小さくなった一方、燃料容量は1リットル増の98リットルとなっている。

 ライバル陣営のGTE車両が調整を受けているなか、『ポルシェ911 RSR-19』のBoPは何も変更がなかった。このドイツメーカーは、GTEマニュファクチャラーズ世界選手権でフェラーリとわずか1ポイント差のランキング2位に位置し、92号車を駆るケビン・エストーレとミカエル・クリステンセンは、カラド/ピエール・グイディ組を11点差で追いかけている。

 LMGTEプロのBoPはこのカテゴリーの最終レースに向けて、ふたたび手動で変更されたことが理解されている。

フェラーリ488 GTEエボ(手前)とシボレー・コルベットC8.R(奥) 2022年WEC第5戦富士6時間レース

■GTEアマもポルシェに変更なし

 LMGTEアマクラスでは、フェラーリとアストンマーティンがそれぞれターボブーストと燃料容量の削減を受けた。また、『アストンマーティン・バンテージAMR』はベースウエイトの8kg増加も合わせて受け取っている。

 これにより、チャンピオン候補であるベン・キーティング/マルコ・ソーレンセン/ヘンリケ・シャベス組33号車TFスポーツ・アストンは、サクセスバラストを考慮すると1275kgで走行することとなる。

 同じくアストンマーティン陣営にあり、タイトル争いのライバルであるポール・ダラ・ラナ/デビッド・ピタード/ニッキ・ティームの98号車ノースウエストAMRは、これよりも20kg軽い状態で最終戦に向かう。

 なお、バーレーンでもっとも重いGTEアママシンは、デンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSR-19で、サクセスバラストを含めた総重量は1289kg(1269+15+5kg)に。次いでアイアン・デイムスの85号車フェラーリが1285kg(1265+10+10kg)となっている。

LMGTEアマクラスのチャンピオン争いはTFスポーツ33号車と、ノースウエストAMRの98号車アストンマーティンに絞られている
ポルシェが発表した、2022年WEC最終戦バーレーンにおける特別カラーリング

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