紙芝居使い“移民の父”紹介 松原さんの母校岩代小

児童に紙芝居で松原安太郎さんの偉大さを伝える大野コマサさん(右)=7日、和歌山県みなべ町西岩代で

 和歌山県みなべ町出身で「戦後ブラジル移民の父」と呼ばれる松原安太郎さん(1892~1961)の生誕130周年記念顕彰事業実行委員会のメンバーらが7日、松原さんの母校である岩代小学校(みなべ町西岩代)を訪れ、紙芝居などで松原さんの生涯や功績を紹介した。児童は郷土の偉人に関心を示していた。

 実行委は、松原さんの生誕130周年に当たる今年、各地で出前講座や講演会、パネル展などによる顕彰活動をしている。紙芝居を使った紹介は今回が初めて。紙芝居は「移民の父 松原安太郎物語」というタイトルで、町内の女性4人でつくる絵手紙サークル「ピカソグループ」が作った。

 この日、グループのメンバー、大野コマサさん(83)が4~6年生23人に紙芝居を披露した。

 ブラジルに渡って大農場主となり、日本人の移住を実現させた松原さんの業績が、ブラジルの国花である「イペー」やサッカー、サンバといった子どもたちにも興味を持ってもらいやすい内容とともに、鮮やかで温かみのあるタッチで描かれている。画用紙16枚の紙芝居で、10分ほどかけてゆっくりと読んだ。

 その後、実行委メンバーで地元の出口晴夫さん(64)が、南部公民館でパネル展が開かれていることを説明し、松原さんについて紹介。ブラジルの日系3世や4世に日本人の印象について聞いたアンケート結果も取り上げ「多くの人が正直で勤勉、伝統文化を守る、忍耐があるといった印象を持ち、それが誇りだと感じている」と語った。その上で、児童に「松原安太郎はブラジルに渡って活躍した。みんなも日本人として頑張ってもらいたい。ブラジルの人と交流し情報交換できればと思う」と呼びかけた。

 6年生の尾崎雄琉君(12)は「松原さんのことを教えてもらい、岩代にこんなすごい人がいたのかと驚き、誇りに思う。今日の紙芝居は、絵に味があってきれいで、分かりやすくよかった」と話していた。

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