川崎フロンターレ、等々力のスタジアム改修が本格始動!東京五輪の“恩恵”もあり「専スタ化」が実現

川崎フロンターレは8日、東急株式会社を代表企業とするグループの一員として、川崎市が公募した「等々力緑地再編整備・運営等事業」に係る総合評価一般競争入札において、落札者として選定されたことを発表した。

この事業は、川崎市が策定・改定した「等々力緑地再編整備実施計画」に示す、「新たな等々力緑地の目指すべき将来像の実現」を目的としている。

川崎市の等々力陸上競技場は、Jリーグ初年度の1993年より当時のヴェルディ川崎がホームスタジアムとして使用。1999年にJリーグへ参入した川崎フロンターレもこの地をホームとしてきた。

何度かの改修を経て現在の姿となり、本来であれば引き続き陸上競技場として整備されていく予定だったが、2021年5月、「サッカー専用スタジアム化」が急浮上した。

始まりは2019年2月、東急株式会社がPFI法に基づく民間提案を川崎市に提出。おりしもこの年、等々力緑地で台風19号による浸水被害が発生したこともあり、有識者による審査を経て、両者は翌2020年2月に「等々力緑地再編整備事業の推進に向けた官民連携協定書」を締結した。

これが等々力改修の転換点となった。

等々力から始まった、サッカーと陸上の新たな関係性

2010年には3万5千人規模へと全面改修する方針が固まっていた等々力陸上競技場だが、あくまで陸上競技場としての整備。

計画に基づき、2012年から2015年にかけての第一期整備ではメインスタンドが建て替えられ、サイドスタンドとバックスタンドを改修する第二期整備も2017年のシーズンオフ以降に予定されていた。

しかし、東京オリンピック・パラリンピック開催による工事費の高騰もあり、第二期整備はなかなか進展せず。2017年5月にようやく川崎市が等々力陸上競技場を増改築するための基本方針案を発表したあとも大きな動きはなかった。

そうした中、川崎フロンターレは2017シーズンに悲願の初優勝を飾ると、翌年もリーグを制して連覇を達成。川崎市におけるフロンターレの存在が変化していく中で行われた東急の民間提案により、“風向き”が大きく変わったと言える。

等々力の専用スタジアム化における課題の一つであった陸上競技団体との調整においても、隣接する補助競技場の陸上トラックにメインスタンドとバックスタンドを新設する形で陸上競技場化する方針が示された。

これにより、日本陸連が主催する全国規模および国際的な大会を開催できる「第1種公認競技場」が等々力緑地からなくなってしまうが、より小規模の大会を開催しやすい、競技団体や選手らにとっては手頃な陸上競技場が誕生することになる(※現状の等々力陸上競技場は、Jリーグ規格のスタジアムが市内に他にないためどうしても川崎フロンターレの試合開催が優先されてしまう)

川崎フロンターレも先日、今季のホーム最終戦となる10月29日のヴィッセル神戸戦において、新感覚の陸上コラボイベント「Rick&Joe」を開催。オリンピアンを含む陸上競技のトップアスリートが多数参加し、陸上の専門メディアが取材に訪れるほど大盛況のイベントとなった。

これまでは対立構造が話題となりがちだったサッカーと陸上だが、川崎では新たなつながり、絆が生まれつつある。

今回、等々力緑地再編整備・運営等事業を落札したコンソーシアム「Todoroki Park and Link」の構成企業および協力企業は以下の通り。

■構成企業

東急株式会社(※代表企業)、富士通株式会社、丸紅株式会社、オリックス株式会社、株式会社川崎フロンターレ、グローバル・インフラ・マネジメント株式会社、大成建設株式会社、株式会社フジタ、東急建設株式会社

■協力企業

株式会社梓設計、株式会社東急設計コンサルタント、株式会社オオバ、株式会社東急コミュニティー、東急スポーツシステム株式会社、株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース

事業期間は2023年4月から30年間(予定)。落札価格はおよそ580億円とのことだ。協力企業にBリーグ・川崎ブレイブサンダースの運営会社の名前があるように、「とどろきアリーナ」の解体・新築も予定されている。

以下は川崎市へ提案資料として提出されたイメージ図の一部。

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日本のトップクラブとなった川崎フロンターレが進める新スタジアム計画。Qolyはその詳細について今後も追っていく予定だ。

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