ミサイル連発の北朝鮮 Jアラート精度向上と「反撃能力」保有を急げ!|和田政宗 10月に続いて2度目の「Jアラート」が発出されたが、「遅い!」「不正確!」などの批判が殺到している――。なかには「毎回Jアラート出して騒ぎすぎるべきなのか」という意見も。Jアラートの改善点と、北朝鮮にミサイルを撃たせないために必要な軍事力を和田政宗議員が緊急提言!

本質論から外れている「Jアラート」批判だが

北朝鮮が弾道ミサイルを連発している。11月3日朝には北朝鮮のミサイル発射を受け、Jアラートで国民保護情報(ミサイル発射)が発表された。

このミサイルは結局、日本海上空で消失したとみられ日本列島を越えなかったことから、Jアラートの精度についてニュースやワイドショーで取り上げられたが、これは本質論からは外れている。しかし、北朝鮮のミサイル開発がどの程度進んでいるのかを国民が把握する上では、このように細かく取り上げられることで理解は進むのだと思う。

今回、最終的にJアラートの情報を訂正することになった弾道ミサイルについては、現在、防衛省において検証が進んでいる。当該ミサイルは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)で、2段目の切り離しに失敗し、弾頭を含む2段目以降が予定の軌道通り飛べば日本列島を越えて太平洋に到達していたものが、途中で爆発するなどして消失したとみられている。

結局、日本列島を越えていないのに不正確ではないか、という論については、私はそれはあたらないと考えている。今回のようにミサイル発射が失敗すれば、2段目以降が日本列島に落下する可能性もあるわけで、今回のような事案でJアラートで国民に警戒を呼びかけることは、全く問題ないと考える。

一方、発表が遅れたことについては、しっかり検証しなくてはならない。7時50分に北朝鮮からミサイルが発射されたとのJアラートが出されたが、その後、8時の2回目のJアラートでは、7時48分にすでに日本上空を通過したとみられると発表された。

実際には消失したため日本列島は通過していなかったわけだが、ミサイル分離が失敗していなければ、1回目のJアラートより先に北朝鮮のミサイルは日本列島を通過していたことになる。ミサイルが消失したためJアラートを出すか判断に迷って時間がかかったという報道がある。

だが、私が得ている情報では、弾道ミサイルとみられるものが発射されたとの情報はJアラートの発表より数分早く防衛省から関係各所に通報されており、日本列島を通過するかの軌道計算もそれほど時間はかからないわけで、判断と連絡、発表をいかに迅速に行うかの改善をしなくてはならない。

(写真は10月10日配信の朝鮮中央通信)

正確ではない『モーニングショー』の報道

具体的には、ミサイル探知→防衛省→内閣官房(Jアラート発表を判断)→総務省消防庁→自治体→防災無線という流れをいかに早くしていくか。内閣官房が速やかに発表を判断できる体制とシステムのなお一層の改善が必要である。

なお、本日8日のテレビ朝日『モーニングショー』で、Jアラートが防災無線や携帯電話から通知されるまでの時間について、防衛省から内閣官房、消防庁に伝えられ、地方自治体や携帯電話会社に届くまで「6~7分かかる」と放送されたが、実際は内閣官房が判断してから自治体や携帯電話会社に到達するまで最長でも35秒(総務省の見解)であり、正確ではない。

しかし、北朝鮮が日本を狙った時や今回のようにミサイル発射が途中で失敗した時は日本に着弾する可能性があり、発表は一刻を争う。発表までの時間の更なる短縮を図る必要がある。

そして、今回のJアラート発表時に私は仙台の自宅にいたが、携帯電話にはJアラートが通知されたが、防災無線は鳴らなかった。なぜかと思い調べてみると、仙台市には沿岸部を除いて防災無線そのものが無いということが分かった。

すなわち、携帯電話を持たずに外出した場合、ミサイルに関するJアラートが発表されても、何も分からないまま回避行動も取れず外で過ごすことになるのである。さらに調べると、仙台市以外でも街なかに防災無線が無い市が多くあることが分かった。

国民を守るため1秒でも早くJアラートの内容を伝えないとならないのに、そもそも全ての国民に伝わる形になっていないのはまずい。国において指針を示し、自治体全てで整備できるよう、国費の投入も考えるべきである。

ミサイルを撃たせないためにどうするか

北朝鮮のICBM開発は米国本土への到達できる射程を得ることを狙っており、今後も繰り返し発射されることが想定される。

「アメリカを狙っているんだから日本は関係ない」ということは全く無く、今回のようにミサイル発射が途中で失敗すれば、日本に着弾する可能性があり、日本を狙った場合はなおさらである。当然、自衛隊は迎撃して撃ち落とすが、根本的に北朝鮮にミサイルを撃たせないようにしなくてはならない。

では、北朝鮮に日本に向けてミサイルを撃たせないためにどうするかであるが、これまでも繰り返し指摘してきている通り、日本に撃ち込んだ場合には確実に反撃され、基地のみならず国の存続も立ちゆかなくなると思わせることである。

北朝鮮への反撃が可能な国産スタンド・オフ・ミサイルの開発配備は早くても2年から2年半かかるので、やはり速やかに米軍の巡航ミサイルのトマホークを購入することが重要である。

そして、北朝鮮が「ミサイルに燃料を充填し、そのミサイルが確実に日本を攻撃することが分かったら、北朝鮮の基地を攻撃することが可能だ」ということでは、「いつだったら可能か」という各論に入ってしまい、その判断ミスによって国民の命が失われる可能性がある。

北朝鮮が我が国に攻撃を始めるという蓋然性と行動の端緒が見られた時点で北朝鮮の基地を攻撃するという議論を、私は排除してはならないと考える。

そもそも、「専守防衛」で絶対に他国から攻撃を受けない絶対的地位の確保を狙うならば、世界一の防衛力、軍事力を持てということとなる。真に国土と国民を守るため、どのような防衛力を整備するのか、今こそ深く議論をし、速やかに決めていくべきだ。

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和田政宗

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