「黄金の3年」一転「暗黒の1年」 首相に課題山積、「総辞職しか」危機感拡大

岸田文雄首相(資料写真)

 衆院小選挙区定数を10増10減する公選法改正案が8日、衆院倫理選挙特別委員会で可決され、今国会で成立する見通しとなった。新たな区割りでの総選挙には1年程度の地ならしが必要とされ、岸田文雄首相は「伝家の宝刀」である解散権の行使が当面困難となる。物価高騰に加え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害者救済対策など課題は山積しており、政権内には「信を問えない状況下で追い詰められたら内閣総辞職しか道がなくなる」(自民幹部)との危機感が広がる。

 「就任1年で衆参両院の選挙に勝ち、大型選挙がない『黄金の3年』を手に入れた。腰だめで日本を改革してほしい」。岸田首相は4日夜、懇談した経団連首脳たちから激励を受けた。関係者によると、首相は「検討する」を「検討を加速したい」と表現するなどトーンを上げるにとどめ、大風呂敷は広げなかった。

 首相の口が重いのは当面解散を打てなくなる見通しに加え、その間に自民内がもめる可能性が高いからだ。与党内では「黄金の3年」に代わり、国民の信を問う術がない「暗黒の1年」が語られ始めている。

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