災害が起こった時、イヌやネコなどのペットも一緒に避難することが原則となっていることをご存じでしょうか。では、避難所はどう受け入れるのか、試行錯誤が続いています。
<アナウンス>
「ただいま、東海地方で震度7の地震が発生しました」
静岡市清水区の専門学校で行われたのは「ペット同行」の避難訓練。12匹のイヌを連れて、近くの広場へと逃げます。目的地へ着いた学生とペットたち。しかし、訓練はここからが本番です。
<専門学校講師>
「黄色のテントが張ってあるところが避難所運営本部になります」
駅前の広場を小学校に見立て、ペットの受け入れが可能な避難所を作ります。
訓練の1か月前。学生たちは避難所の運営方法について考えました。
<学生>
「Eさんは50歳で1人暮らし。体調不良。イヌやネコ9匹と避難」
使ったのは、避難所運営が疑似体験できるゲーム「HUG」。しかもペット避難専用です。このゲームをできたワケとは?
<ペット避難HUGを作ったNPO法人 アナイス 平井潤子理事長>
「いろんな人がペットと同行避難してくる。その人たちとどうやって避難所でうまく避難生活をおくっていくかということが考えられるヒントになればと思って(ゲームを作ってみた)」
背景には、環境省が作成したガイドラインがあります。東日本大震災などの経験から災害が起きた場合、飼い主はペットを連れて避難する「同行避難」を原則とすると定めました。
しかし、静岡県内ではペットの受け入れが可能な避難所は、1705カ所中749カ所と半分以下。すべての避難所がペット受け入れが可能な熱海市でも、2021年7月の土石流災害では、対応が追い付きませんでした。
ゲームの中でも、ペットを受け入れる難しさが浮き彫りとなりました。
<学生のやり取り>
「Gさんが柴犬と避難」
「未去勢は一緒にしたらダメでしょ」
「他のイヌに吠えるならどこか遠くに。女の子(のイヌ)と一緒にしたらダメだから」
避難所にやってくるペットは、1匹として同じものはいません。学生も最善の方法を考えます。
HUGで学んだことを避難所の開設にどう生かすか。飼育スペースの場所が決まると、ペットの居場所やトイレなどを作ります。
<学生のやり取り>
「狭くない?小型犬でも2人しか入んないじゃん」
「段ボールを縦にして小屋みたいにする」
発災直後を想定し、限られた物資で、ペットの生活空間をどのように作るか知恵を絞りました。
<中央動物総合専門学校2年生 熊谷美柚香さん>
「段ボールとかだと(動物の)目に当たっちゃう。高齢のイヌとかだったら、目が見えにくいとか距離がわからないとか、ペットたちに角がぶつからないように工夫した。自分ができることは極力やりたいと思う」
<中央動物専門学校講師 沖紀代さん>
「ペットに関する知識にある人もいなければ、準備しているものもない、理解もないところで避難しなければならないので、相当な準備が必要になると思うが、(準備を)していれば、必ず共生できる」
今後、避難所にペットがいることが当たり前の時代がやってきます。どう、ペットと共存していくのかも避難所運営の大切なポイントといえます。