ふるさと納税、12月では遅い4つの理由とは?残念な人にならないための対処法

いよいよ11月となり、ふるさと納税の追い込み期に入りましたね。「え? ふるさと納税といえば12月じゃないの?」ですって?

なんて……嘆かわしい!

確かに期限が年内ですので、12月にすれば良いとゆっくりされている方が多いようです。しかし、ギリギリにやって失敗したということもあるのです。早めにしておくメリットや、年末にまとめてするデメリットについて、お笑い芸人で本当の税理士、税理士りーなが解説します。


そもそも「ふるさと納税」とは?

「ふるさと納税とは、食べ物がもらえるもの」というイメージが強いようですが、そもそもは「今住んでいるところではなく、故郷(ふるさと)に納税をしよう」という趣旨で始まった制度です。

というのも、地方自治体の税収である「住民税」は、人口が増えている地域ではどんどん増加して、人口が減っている地域ではどんどん減少しています。「都心ばっかり住民税が多くてうらやましい! もともと住んでいた自分の故郷に住民税を納めるようにしてもらえないか?」そんな地方の声を汲んで始まったのが、そもそもの始まりです。

自分がもともと住んでいた「ふるさと」に住民税を納付するプロセスは……

(1)その地方自治体に「寄附」をする
(2)「寄附してくれてありがとうの品(返礼品)」がもらえる
(3)その寄附した金額に近い金額を自分の納めるべき税金から引いてもらう

この引いてもらえる金額が「寄附金額 − 2,000円」なので、寄附額と差し引きすると、実質2,000円負担で「ふるさと」に住民税がつけかえられて返礼品がもらえた、ということになります。

このような意味合いで始まりましたが、もはや「ふるさと」関係なく、みなさん返礼品目的で寄附をするので、今や地方自治体の返礼品合戦になっていますね。

所得税じゃなく住民税から引かれる

ふるさと納税の手続きは、税金の控除を受ける手続きなので、所得税の確定申告をする方は申告の時に「寄附金控除」をいう手続きをすればOKですが、確定申告が必要でない会社員については、確定申告なしで控除が受けられる「ワンストップ制度」という制度があります。

ワンストップ制度は寄附をした自治体にふるさと納税の控除を受けるための申請書類を提出するという方法で、自分の住んでいる自治体の住民税が安くなります。ただし、1年で5自治体以内の場合のみ利用できます。6カ所以上の自治体に寄附をする場合は、確定申告を行なってください。

確定申告をする方は、所得税から10%弱が引かれて、残りは住民税から引かれます。ワンストップ制度を利用する方は、所得税の確定申告をしないので所得税は減額されず、寄附額から2,000円を引いた残りの金額が住民税から直接減額されます。

年末調整の時に受け取る源泉徴収票を見て「税金が下がっていない!」と言われる方も時々いますが、住民税のチェックが必要ということです。

タイミングに注意

住民税は1月から12月分の所得(収入や支出などから計算されたもうけ)から計算されます。しかも、その金額が決定するのは翌年の5〜6月ごろ。給与から天引きの方は、翌年6月分から1年間の住民税の金額に反映されます。かなり後ですよね。

そのため、年の初めの1〜3月ごろにふるさと納税をされた方は、その年の6月からの住民税を見て「あれ? 住民税が減っていない」と言われる方が時々おられますが、翌年の6月からの住民税で反映されるので、ご注意ください。

ふるさと納税は限度額に注意

なお、ふるさと納税には限度額があります。それを計算するための計算式が複雑なので、ふるさと納税サイトなどでは「限度額シミュレーション」や「控除額シミュレーション」などの試算サイトが用意されています。また、各自治体の住民税を試算するサイトにも、ふるさと納税の限度額が表示されるものがありますので、ご自身の自治体ホームページでも確認できることがあります。

なお、あくまでシミュレーションなので、正確な限度額を出すことはできません。また、サイトによっても数値が異なることがあります。相模原市が用意している「市・県民税(住民税)試算システム」などのように、具体的な収入金額や控除額を入力して、より正確に限度額を求められるものがおすすめです。

毎年給与収入に変動がある人

会社員の方のように、毎年同じ金額で給与収入が安定している場合は、昨年の源泉徴収票を見ながら限度額を試算すれば正確に近い限度額が出せますが、毎年収入が変動する方は1〜12月分の金額を見積もって試算しなければ限度額が求められません。早めに12月までの収入金額を見積もって、限度額の試算をおこなってください。

限度額を超えたとしても、「多めに寄附をしたイイ人」というだけで、誰も教えてくれませんので、見積りがキッチリできない方は限度額より少なめに寄附をしておくのが無難です。

副業収入がある人

事業をされている方は1年分の収入金額だけでなく、経費も見積もって差し引きの所得を求めてからでなければ、ふるさと納税の限度額を求めることができません。給与収入メインの方でも、一定以上の副業の収入があり確定申告が必要な方は、その副業の所得も加味して計算しなければなりませんので、12月までの収入と支出を事前に見積もって集計してみてください。

副業があると、ふるさと納税などの限度額シミュレーションサイトでは厳密な計算ができませんが、副業の利益分を給料の金額に足し込んで入力しておくと、実際の計算結果よりやや少なめに試算できるので、目安として求めてみてください。

残念な人の特徴

ふるさと納税は1月から12月分で集計するので、12月末ギリギリでする方が多いようですが、年末ギリギリですることで「残念な人」になってしまうケースがあります。「なんて……嘆かわしい!」と叫ばなくて済むためのポイントをお伝えします。

(1)届く時期に一気

ふるさと納税をすると、品物によって違いますが、申し込んでからおよそ2〜4週間程度で返礼品が届きます。年末にまとめて限度額いっぱい寄附をすると、同じ時期に一気に返礼品が届いてしまい、新年早々「冷凍庫がいっぱいで入りませ〜ん」なんて言っている方を見かけます。

なんて……嘆かわしい!

届く時期をズラして少しずつ楽しめるように、計画的に申し込みをしてくださいね。

(2)アクセスできずに間に合わなかった

年末の本当のギリギリに申し込もうとして、アクセスが集中して繋がらず、年内に処理が完了しなかったというケースもあります。考えることは皆同じです、ちょっとの差で年内のふるさと納税を逃してしまう、なんてことになってしまいます。

なんて……嘆かわしい!

「繋がらない〜」とイライラしないよう、アクセスしやすいうちに余裕を持って申し込みをしてくださいね。

(3)ワンストップが間に合わなかった

せっかくコツコツと早めにふるさと納税をしていたのに、最後の最後に残念な人もいます。確定申告が不要で「ワンストップ制度」を利用したい人は、各自治体の締め切り期限までに「ワンストップ制度の申請書」を寄附をした自治体に提出しなければなりません。これが1件でも期限後になってしまうと、残念ですが確定申告で全ての寄附の資料をそろえて「寄附金控除」の手続きをしなければ、なりません。

なんて……嘆かわしい!

ワンストップ制度の適用は「確定申告が不要な人」なので、確定申告することになれば、途中までワンストップの申請書を自治体に提出していたとしても、それらはキャンセルされることになります。自治体への提出期限は、1月5日〜1月10日頃までさまざまです。早めに寄附をして早めに手続きをしておきたいですね。

(4)品物によって数量や締め切りがある

ふるさと納税には、旬の野菜や果物など期間限定の品や、数量限定の希少な品も並びます。
早めに選んでおくと、春にいちご、夏にモモ、秋に新米、冬にはカニというように、四季折々の食材が家庭に届きます。年末に一気にオーダーしようとすると、数量限定商品はゲットできず、毎年同じありきたりな品になってしまいがちです。

なんて……嘆かわしい!

1年を通して早めに計画を立てて、ふるさと納税を楽しんでくださいね。


毎年年末にしかふるさと納税をしてこなかったという方も、早めに計画的にやっておくことで楽しみも増えます。

なんて……喜ばしい!

ぜひ上限額を試算して、ふるさと納税の返礼品を楽しんでくださいね。

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