民間港利用は「戦争への道」 市民団体らが中城湾港で抗議行動 日米統合演習

 南西諸島全体を舞台に大規模に行われる日米共同統合演習「キーン・ソード23」に向けて自衛隊が車両を陸揚げした8日、中城湾港のゲート前には多くの市民が集まり、抗議行動を展開した。中城湾港への陸揚げなどは有事の際に民間施設を使用する予行演習とも言われ、有事に巻き込まれる懸念が強まる中で「戦争につながる合同演習をやめろ」と怒りの声を上げた。

 自衛隊車両を運んできた輸送船が午前9時すぎに中城湾港に着岸すると、集まった市民らはシュプレヒコールを上げた。陸揚げされた自衛隊車両が別の岸壁付近に集結すると、市民も移動して抗議を続けた。

 マイクを握ったうるま市島ぐるみ会議の照屋寛之共同代表は「中城湾港は物流拠点であり県民の財産だ。湾港を台湾有事に使おうとするのは許せない」と疑問視した。

 自衛隊車両の移動を止めようと港のゲート前に座り込んだ市民らを、警官隊が排除した。午後0時15分ごろから約70台の車両が順次、港を出た。うるま市の77歳の男性は、座り込む市民の説得に現れた自衛官と向き合った。訓練理由や目的をただしたが回答は得られず、不満を示した。

 抗議に参加した80歳の男性は、今回の訓練に加え「県内では先島の自衛隊強化やミサイル配備などの動きもあり、戦争前夜のようだ。先の大戦では日本の防波堤になったが、今度は米国の防波堤になろうとしている。軍備で国家間の争いは解決しない」と述べ、対話による解決を訴えた。

(知念征尚、塚崎昇平)
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