ミクロエース=宮崎市 半導体皮膜除去装置開発

フォトレジストの除去工程を担う電解硫酸装置(ミクロエース提供)

 半導体や電子部品、航空機、自動車などの表面処理加工を手がけるミクロエース(宮崎市、柳義一社長)が、新規事業を拡大しようとしている。世界的な半導体大手から依頼を受け、半導体製造のプロセスで用いられる「フォトレジスト除去装置」の開発に着手。来年3月に1号機を納品する計画で、当初3年間で10億円のライセンス料が支払われる見込みだ。
 フォトレジストは、半導体に集積回路を形成したり微細加工を施したりする際に使われる感光性皮膜。半導体表面に金属原子を打ち付ける際、金属原子が入ると困る箇所にフォトレジストを塗って金属原子を受け止め、次の工程に行く前に不要となった犠牲皮膜を除去する仕組みとなっている。
 フォトレジストを除去する工程で生きるのがミクロエースの独自技術。一般的には使用した薬液の大半をそのまま廃棄するが、硫酸を電気分解して強酸化剤を作る電解硫酸装置の開発により、薬液中のフォトレジスト成分を二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に分解。薬液の使用量を減らせるだけでなく、製造過程で発生するCO2も削減できる。SDGs(持続可能な開発目標)に対応した技術として多方面への応用が期待され、世界的メーカーからの問い合わせも多いという。
 量産化を見据えた準備も進んでいる。宮崎市の本社隣に5階建ての開発拠点を建設し、売上高10倍増を目指す。来年初めに着工、2024年7月に稼働する計画で、柳社長は「今後は半導体関連の開発製造依頼だけでなく、他分野の要望も増えるとみている。その流れに乗れるよう社を挙げて取り組んでいきたい」と意欲を語る。

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