長年愛された“足尾の味”が復活 地元日光の宿舎「かじか荘」が商品化 常連客に評判

「足尾の味ホルモン」を手にする小野崎さん

 栃木県日光市足尾町の国民宿舎「かじか荘」はこのほど、3年前に閉店するまで60年にわたり地元で愛されたホルモン専門店「ホルモン末広」の味を復活させた。「過疎化が進む足尾の文化や歴史を伝えるものになれば」と、冷凍食品「足尾の味ホルモン」として商品化。常連客などの間で評判となっている。

 1959年にわたらせ渓谷鉄道の通洞駅近くに開業したホルモン末広は、銅山の町の人々に愛され、市内外に多くの常連客がいた。しかし2019年、生涯現役を貫いた店主の戸川(とがわ)ヨシイさんが95歳で亡くなり、閉店した。

 「この足尾の食文化を絶やしたくない」と商品化を企画したのは、かじか荘の小野崎一(おのざきはじめ)支配人(52)。「ホルモン末広は、多くの人にとって足尾のすてきな思い出のお店。私も3世代でお世話になった」

 戸川さんの娘からレシピを教わり、同じ仕入れ先で材料をそろえた「足尾の味ホルモン」は、シロとカシラの2種類。みそベースの甘みのあるタレが付く。小野崎さんは「本来は戸川さんの温かい接客とセットだと思うが、いろんな人から懐かしい味という声を頂いている」と話す。

 かじか荘ではこのほか、明治時代に足尾で国内外の要人に振る舞われたビーフシチューを再現するなど、食を通じて足尾の魅力を伝えている。

 足尾の味ホルモンは、シロ、カシラ各900円。かじか荘や近くの銀山平公園キャンプ場で販売している。キャンプ場の利用期間は今月末まで。(問)かじか荘0288.93.3420。

© 株式会社下野新聞社