女性誌部数ナンバーワン「ハルメク」がつくるおせちってどんなもの? 累計販売数31万台 人気の秘密は

女性誌ナンバーワンの部数(日本ABC協会発行社レポート2021年7月~12月)を誇り、現在実売48万部の月刊誌「ハルメク」が、同誌のカタログ通販や通販サイトで毎年恒例の「ハルメクのおせち2023」の販売を開始した。2007年からオリジナルおせちを開発し、2021年12月までの累計販売数が31万8652台。いま一番勢いがある女性誌がつくるおせちとはどんなものか?人気の秘密とともに探った。

プレミアムおせちの「福寿」(1人前1万200円~6人前5万1000円=税込)と、スタンダードの「彩」(2人前11000円~6人前3万300円=同)の2種類を販売するが、「福寿」の6人前はすでに完売した。

〝50代からの生きかた・暮らしかた応援雑誌〟をうたう同誌は、50代以上のシニア女性が明るく生きるための情報が満載。書店には置かず読者宅に直接送付する定期購読誌で、同誌とともに提供するカタログ、オンラインで通販も行っている。

オリジナルのおせちを、雑誌が開発・販売するのはめずらしい。なぜ女性誌の「ハルメク」が、おせちを販売しているのか?通販本部食品課の橋本幸恵さん(47)は「いま、読者の方々が困っていることとか、お悩みを解決してほしいようなこと、生活に役立つものって何なんだろうという視点から、商品を選んで、季節にあったものを提供させていただいている」と理念を語った。

年末年始は、準備などで主婦が一番忙しい季節。「読者さんとお話をすると、紅白歌合戦をゆっくり見たことがない、ずっと座ることもできなくて、夜遅くまで年越しそばの準備をしたり…。そういう人たちに少しでもゆっくりと過ごしていただきたいという思いから、ハルメクのおせちは誕生しています」と、もともとは年末年始の準備に追われる主婦の負担軽減がきっかけだった。

同誌の強みのひとつに、読者との距離の近さが挙げられる。寄せられるはがきや、読者モニターの声を雑誌編集に反映。通販も同様で、橋本さんは「読者様からのおはがきが通販にも来ますし、本誌にも来るのですが、お声を毎週毎週吸い上げて、読ませていただいている。食品ですと、おいしかった、おいしくなったっていうのもあるんですが、封が開けにくかった、うまく食べられなかったとか、そこを常に改善していく」とフィードバックを欠かさない。

おせちに関しても、毎年1000人以上の購入者からアンケートが戻ってくる。1通1通読み解き、不評なものは何だったのかを調査。味を変えたり新しいメニューを入れるということを続けている。「この17年間ずっと繰り返している。私たちのおせちは、読者さんあっての今があるという17年目のおせちになっている」と、ブラッシュアップを重ねる。

味についても、ハルメクならではのこだわりがある。おせちを最後まで飽きずに食べてもらいたいという思いから「塩をすごく使うとかっていうことじゃなくて、おだしをちゃんとしっかり使って、薄味仕立てにしているというところもこだわっているところ。製造工場できちんと作ってくださるところでないと、そういうやりとりはできない」と強調した。

修正は2度3度ではなく、メーカーや製造工場とのやりとりは10回近くに及ぶという。「私たちが味を確認した後に、読者の方々を募集して味の確認をしていだいて、また修正をかけて、最後やっと出来上がるというものになっている」と説明する。

「もうひとつのこだわりなんですが…」と切り出した橋本さんは、市販のおせちであまり気づかれていない事実を話す。ハルメクのおせちは、食材が人数分入っているという。「世の中にあるおせちって、2から3人前とか、4から5人前とか書いてあると思うんですけど…。社長のお客さまに対する思いが強く『ごまかさず、何人分か明確にしよう』となり、そこはこだわり続けています」と明かす。

1人前のおせちは、故郷でのひとり暮らしや老人ホームに入居する親に送るものや、コロナで家族同士での「パーソナルおせち」としての需要もあるという。家族の好みがすべて詰まった「新しい和洋折衷のおせち」をうたうハルメクのおせち。こだわりにこだわり抜いた品々が、2023年の元旦を彩る。

ハルメクのおせち2023オリジナル通販サイトhttps://ec.halmek.co.jp/shop/e/e3221004/

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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