〈秋の褒章〉黄綬褒章 鈴木秀城さん(63、糸魚川市能生)

 令和4年秋の褒章が発表され、各分野で社会の発展に尽くした受章者が栄誉に浴した。上越タイムス社は上越地域の褒章受章者から、これまでの足跡や受章の心境を聞いた。

鈴木秀城氏

◇「人が担う建設業」大切に
 笠原建設(糸魚川市)社長。「建設業という仕事が好きで、仕事に誇りを持ち、ここまでやってきた。受章は自分一人の力ではない。業界、協会、そして笠原建設の社員に感謝している」と話す。
 日本道路公団(当時)の技術者だった昭和58年、北陸自動車道の建設で糸魚川市に赴任。その後、東京湾横断道路(東京アクアライン)の設計に携わっていたところ、縁あって平成元年、笠原建設に入社した。自身も40年にわたり土木・建設業に携わる「ベテラン」の域に入った。
 40年を経て、建設業を取り巻く環境は大きく変わった。設計などの作業も現場もIT技術の導入が盛んだ。しかし、業務に携わる「人」こそ事業の根幹であると言い切る。「環境は変わってきているが、人がものを作っていく産業であることには、何の変化もない。そこを大事にしていきたい」
 建設業の人手不足は慢性的になっている。次代のインフラ整備を担う人材の登用は重い課題だ。「自分が作ったものが地域の役に立つ仕事は、建設業以外にそうそうない。しかし就労環境は正直、厳しい。やりがいを持て、働きやすい環境づくりを業界全体はもちろん、自社でも実践し、人手不足解消に役立ちたい」と話している。

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