〔海外〕2022年10月の災害を振り返る

2022年10月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●10月
【事故】インドネシアのサッカー場で暴動 死傷者多数
[被害]死者133人 負傷者300人以上
2022年10月1日夜、インドネシアの東ジャワ州マランにあるサッカー場「カンジュルハン・スタジアム」で、プロサッカーリーグの試合終了後に一部の観客がグラウンドに入るなどして暴徒化した。これに対し、警察が催涙ガスを発射し、呼吸困難になって倒れる観客が相次いだほか、逃げようとした観客が出口へ殺到して折り重なるように倒れるなど場内は大混乱に陥った。この一連の混乱で、これまでに133人が死亡、300人以上が負傷した。
今回の事故の人的被害拡大の要因としては、FIFA(国際サッカー連盟)が禁止しているサッカー場内での鎮圧目的の催涙ガスの使用のほか、サッカー場の定員を上回るチケットの販売や、混乱を避けるために事前に検討されていた試合時間の変更が実施されなかったことなどが指摘されている。
サッカー場での群衆事故はこれまでにも世界各地で度々発生しているが、今回の事故は、1964年5月にペルーで開催された東京オリンピック南米予選で300人以上が死亡した事故(エスタディオ・ナシオナルの悲劇)に次ぐ死者数となった。この事故は、試合結果に抗議し一部が暴徒化した観客に向けて警備側が催涙ガスを発射、パニック状態となって発生したもので、今回の事故と類似している。

【事故】韓国・ソウル市のハロウィーンで賑わう繁華街で群集事故 156人死亡 邦人にも死者
[被害]死者156人 負傷者152人
2022年10月29日22:15頃(日本時間同じ)、韓国の首都、ソウル市梨泰院で、ハロウィーンを前にして集まっていた人々が転倒する事故が発生した。この事故で、156人が死亡、152人が負傷した。現場はクラブなどが多く主に若者や外国人が集まる繁華街で、狭い路地で身動きの取れなくなった人々が何らかの理由により次々に転倒したものとみられている。犠牲者は10代・20代の女性が多く、日本人2人をはじめ26人の外国人も含まれていた。韓国では、新型コロナ流行後初めて規制が解除されたハロウィーンの週末で、この日の梨泰院には10万人以上が集まっていたものとみられている。また一部報道では、主催者の無いイベントに対して、警察の警備計画が不十分であったとの指摘も出ている。事故を受け、尹錫悦大統領は国を挙げての服喪と、原因究明及び再発防止に努めるよう指示したとの談話を発表した。

【事故】インド西部で橋の耐荷重を超える人が密集し吊り橋が崩落
[被害]死者約140人 負傷者多数
2022年10月30日18:40頃(日本時間同日22:10頃)、インド西部のグジャラート州モルビにある吊り橋を支えるケーブルが突如切れ、橋が崩落した。31日時点で死者は約140人にもなり、うち50人は子どもだった。事故が発生した吊り橋は長さ233mで、140年前の英国統治時代に建設された。約半年の補修工事を経て26日に通行が再開されたばかりで、事故当日にはヒンズー教の祭典を祝う人が集まったこともあり、橋を渡るために400人がチケットを購入していた。橋の上にいた詳細な人数は不明だが、200人はいたと考えられている。事故当時の様子を撮影していた防犯カメラには数名のグループが故意に橋をゆらすような行動をした直後、橋が崩落する様子が映されていた。
この事故に関連してインドのモディ首相はSNSに「悲劇に深く悲しんでいる。州の首相とも話し、救援活動を本格化させている」と投稿、1日には事故現場を視察し、詳細な調査を迅速に行うよう指示した。事故後の調査で、これまでに橋を改修する業者が橋を支える古いワイヤーの交換を怠っていたことや吊り橋の管理会社が橋の利用再開を当局に通知せず、安全に関する証明書を取得していなかったことが判明している。地元警察は改修工事の請負業者の社員など9人の身柄を拘束し、今後原因についてさらに詳細な調査を行うとしている。

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