候補地は北那須浄化センター 大田原市の指定廃棄物の暫定集約先

大田原市役所

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で発生し、大田原市内の農家で一時保管が続いている放射性物質を含む稲わらなど約71トンの農業系指定廃棄物について、市が宇田川地区の県北那須浄化センターを候補地として暫定集約を目指していることが10日、関係者への取材で分かった。同センターへの暫定集約については、地元説明会で住民らから慎重な判断を求める声も出ており、市は話し合いを継続する予定。

 同センターは県の関係団体「とちぎ建設技術センター」が維持管理し、市と那須塩原市の下水を処理している。11年末からは、県下水道資源化工場(宇都宮市)が放射性物質を含んだ汚泥を焼却、高温処理して固形化した溶融スラグの一部を同センター敷地内で一時保管している。

 関係者によると、説明会は今年10月末に同センター周辺の住民らを対象に開催された。市幹部らの説明に対し、出席者からは話し合いの継続や、慎重な判断を求める声が出たという。

 東京電力福島第1原発事故で発生した県内の農業系指定廃棄物は那須塩原、大田原、矢板、日光、那須、那珂川の6市町で計2784トンに上る。環境省は市町ごとの暫定集約へ向けて個別協議を進め、那須塩原、日光、那須の3市町では集約先が決まっている。

 このうち県内最多の1680トンを保管する那須町は、民有地にコンクリート製の保管施設を整備して集約。那須塩原市は1216トンをごみ処理施設「那須塩原クリーンセンター」へ集め、焼却している。

 大田原市はこれまで、国の主導で、焼却しない方法で暫定集約を求める方針を示してきた。4月に就任した相馬憲一(そうまけんいち)市長は5月に環境省、県と3者で会合した後、「農家の精神的な負担は大きい。従来通り、国の責任で進めてほしいと要望した」と話していた。

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