僅差でプジョーの後塵を拝したトヨタ「バランスが思いどおりにならず苦戦している」/WECバーレーン初日

 11月10日(木)、2022年のWEC世界耐久選手権最終戦となる第6戦『バーレーン8時間』レースが開幕。最終戦までもつれ込んだドライバーとマニュファクチャラーの両タイトルを争うTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、初日に2セッションが行われた公式練習(フリープラクティス)で、両タイトルの獲得へ向け、その準備を開始した。

 2022年のル・マン24時間レースを制し、ドライバーズチャンピオンを争うセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車GR010ハイブリッドは、タイトル獲得のためには現在同点で争っている36号車アルピーヌA480・ギブソンよりも上位でフィニッシュする必要がある。8号車は初日、トップタイムをマークした93号車プジョー9X8からわずか0.045秒遅れの2番手タイムをマークした。

 ディフェンディングチャンピオンである7号車を駆るマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスは4番手につける結果となったが、ハイパーカークラスは、TGRの2台を含む上位4台がわずか0.160秒の中に入る接戦となった。

 チームは一回のアタックタイムには重きを置いておらず、クリーンなセッションとなった公式練習1回目では、TGRの6人のドライバー全員が車両セットアップの解析とタイヤテストのために満足なスティントをこなした。

 ナイトセッションとなった公式練習2回目では、コンウェイとハートレーがセッション開始早々に短いアタックスティントを行い、7号車、8号車それぞれ最速タイムをマーク。その後は両車ともに、決勝レースを見据えたメカニカル及び空力のセットアップの更なる最適化と、タイヤに厳しい路面における、その性能の解析を目的としたロングランに切り替えた。

 走行2日目となる11日(金)は、現地時間11時(日本時間17時)から60分の公式練習3回目が行われたのち、日没直後の17時10分(同23時10分)から、ハイパーカー&LMP2の予選セッションがスタートする。

 バーレーンの走行初日を終えた、TGRの6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。

FP2のナイトセッションを走る7号車トヨタGR010ハイブリッド

■「アルピーヌとプジョーがとても速いのは明らか」

●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「クルマを調整し、改善点を見出しながら進歩させています。バーレーンは気温が高く、路面も大きく変わっていくので、自分たちのポジションを判断するのは難しいですが、今日はずっと決勝レースにおける車両バランスの安定を求めた走行を重ねており、現時点ではラップタイムをそれほど重要視していません」

「タイムは非常に近接していますが、この週末、我々にとって重要なのは、決勝レースに強い車両セットアップであり、それを見出すことを目的としています」

●マイク・コンウェイ(7号車)
「車両のバランスが思いどおりにならず苦戦している。スティントのたびにフィーリングが変わり、正しい方向を見出すのが難しい」

「新品タイヤを履いた状態での感触はとても良いが、タイヤ摩耗が進んでいくとグリップが大きく変化する。とは言え、そのような状況はここバーレーンでは珍しくないので、予選と決勝レースへ向けたすべてのセットアップを分析していかなくてはならない」

●ホセ・マリア・ロペス(7号車)
「難しい初日だった。アルピーヌとプジョーがとても速いのは明らかで、我々はレースペースという点でもまだやらなくてはならないことがある」

「ドライバビリティについても、もう少し改善する必要があるが、ここバーレーンはサーキットの性質上、初日はいつもこのように大変なものだ。明日は路面がもっと良くなるだろうし、それまでに努力し調整を続ける。長いレースウイークはまだ始まったばかりだ」

トヨタGAZOO Racingの平川亮、中嶋一貴TGR-E副会長、小林可夢偉

●セバスチャン・ブエミ(8号車)
「正直なところ、我々にとっては厳しい一日だった。我々の8号車は公式練習1回目を終えた時点で、ライバルに対し遅れを取っているように感じられたが、明日こそは全体的に速さを取り戻すべく、ハードワークで改善点を見出さなくてはならない」

「データを見直し、セットアップを調整、解決策を見出すためにできる限りのことをするつもりだ。まだ1日目を終えたばかりだし、状況は変えられるので、そのために全力でプッシュしていく」

●ブレンドン・ハートレー(8号車)
「今日の両セッションともに我々のクルマには大きな問題はなかったが、今日の結果に満足したとは言えない。車両バランス面で思ったとおりにはなっておらず、フィーリングの面でもベストではなかった」

「しかし、我々は過去に、ここバーレーンで戦った経験を持っているし、落ち着いてデータを確認しながら、改善点を見出す必要があるのは分かっている」

「大事な決勝レースまでには、まだ公式練習3回目があり、それまでにやるべきことがある。競争力のあるレースが確実にできると信じている」

●平川亮(8号車)
「私にとって、ここバーレーンは初めてのレースとなります。昨年、レース後にテストで走行していますが、この週末はすべてが新しく、まだまだ学ぶべきことが多いですし、私自身のドライビングもこのコースに合わせていく必要があります」

「公式練習1回目、2回目と進むごとに進歩を感じており、満足しています。明日はもう1回の練習走行でセットアップの微調整を行い、その後は予選を頑張るだけです。決勝レースも接近戦になると思いますが、楽しみにしています」

WEC第6戦バーレーンのFP1を走る8号車トヨタGR010ハイブリッド

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