長崎銀行110周年 開地頭取、法人営業増強に手応え 駅ビル開業で新店舗検討

「地方銀行と地域は一心同体」と語る開地頭取=長崎市栄町、長崎銀行別館

 長崎銀行は11日、創業110周年を迎えた。開地龍太郎頭取は長崎新聞の単独インタビューに応じ、近年力を入れる法人営業の手応えを語った。来年秋のJR長崎駅の新駅ビル開業に合わせ、新しい有人店舗を出店する考えも明らかにした。

 -110周年を迎えての所感は。
 長い歴史の中、不良債権などさまざまな問題もあったが、乗り越えられたのは、地域の皆さまの支援が大きい。今後も「長崎」を冠する金融機関として、小さくてもぴかりと光る存在感を目指していきたい。

 -2019年6月に頭取に就任して以降、法人営業を強化してきた。成果は。
 就任当初から、旧十八、親和両銀行の合併は分かっていた。県内のナンバー2銀行として事業者のニーズに応えようと、法人営業の人員と拠点を増強した。19年9月に県内の融資残高のシェアは6.7%だったが、今年9月には8.4%に伸び、十八親和銀との差を縮めることができた。県信用保証協会がまとめた中小企業向けの保証債務残高シェアも、5%台から9.9%にまで上昇し、効果が少しずつ出てきている。

 -今後取り組みたいことは。
 本県は経営者の年齢層が高い。(西日本フィナンシャルホールディングス)グループの力を生かしながら、事業承継やM&A(企業の合併・買収)の支援にも積極的に取り組みたい。個人のシニア層の年金や資産運用の相談にきめ細かに応じる。若い世代にも、資産運用や創業など幅広い相談ニーズに応えたい。来年秋に開業する新長崎駅ビルか、既存駅ビルのどちらかに新店舗進出を検討している。土、日曜や夜間も営業し、気軽に相談できる窓口にする。必要なデジタル化を進めつつも、フェース・ツー・フェースの取引にこだわりたい。

 -110周年記念事業の内容や反応は。
 年0.110%の特別金利定期預金は4月の第1弾、7月の第2弾とともに好評で、すぐに募集枠が埋まった。10月から年0.011%金利適用の第3弾を始め好調だ。銀行にとってはコストだが、お客さまへの感謝の意味を込めている。地方銀行は、地域と一心同体。いかに地域を発展させていくかが存在価値だと思っている。「長崎といつも一緒に」のキャッチフレーズ通り、これからも地域に必要とされる銀行を目標としたい。

◎長崎銀、増収増益 9月中間決算

 長崎銀行(長崎市)が10日発表した2022年9月中間決算は、売上高に当たる経常収益が前年同期比1.9%増の24億1200万円、純利益が同73.1%増の1億8700万円で増収増益となった。増収は2期連続、増益は2期ぶり。
 本業のもうけを示すコア業務純益は同900万円増の1億2400万円。利回り低下で貸出金の利息収入は減少したが、経費圧縮によりカバーした。
 貸出金残高は、中小企業向け、個人向け共に拡大し、同61億2300万円増の2717億2800万円。個人ローンは同10億2400万円増の1525億2600万円。アパートローン減少で住宅ローンが減ったが、消費者ローンで伸ばした。
 預金も増加し、2630億円。4月以降に始めた110周年記念定期預金が好調だった。預かり資産残高はターゲット型保険の満期解約などが響き、同4億円減の472億円。
 上期の好調を踏まえ、23年3月期業績予想は、純利益を当初予想より9千万円増の2億9千万円に上方修正した。 


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