12年ぶりのWRC日本ラウンド『ラリージャパン』が開幕。トヨタのオジエが初日首位

 11月10日(木)、WRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン』が愛知県豊田市で開幕した。同日、4日間にわたるラリーのオープニングステージとしてナイトステージが1本行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップタイムをマーク。総合首位に立った。
 
 チームメイトのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合5番手、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)33号車)が総合6番手につけた。また、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから参戦している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合7番手でラリー初日を走破している。

 2022年シーズン最終戦として愛知、岐阜の両県をまたいで開催されるラリージャパンは10日(木)午前中に、豊田市の鞍ヶ池公園でシェイクダウンが行なわれた。SS1“Kuragaike Park”の逆走となる全長2.80kmのシェイクダウンステージは、ヨーロッパ圏外での事前テストが禁じられているため、競技本番に向けたクルマの最終確認、およびセッティング調整作業を行なう最後の機会に。

 その中でトヨタ勢ではエバンスが、ライバル陣営のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とトップタイムを分け合い、僚友オジエが3番手で続いた。ロバンペラは6番手タイムをマークしている。

 全長2.75kmのコースで争われたSS1は、豊田スタジアムでのセレモニアルスタートを経て17時38分からスタート。このSSは今大会唯一のナイトステージとして行われている。

 日没後のオープニングステージでは、前戦スペインで今季初優勝を飾ったオジエがベストタイムを記録。ラリーリーダーとして競技初日を締めくくってみせた。

「暗闇の中でのドライブはつねに難しく、今晩のステージはラリーのオープニングとしては簡単ではなかった。しかし、距離が短かったし、シェイクダウンで逆向きに走っていたので、どのようなステージなのかは理解できていた」とオジエ。

「ここまでのところ順調だが、明日は最大の難関が我々を待っている。スペインではクルマが完璧に機能したので、今週末も同じようにいいフィーリングを見つけ、チーム全体が期待している結果を出したいと思っているんだ」

「レッキで、今回のステージは非常にツイスティで道幅が狭く、独特なキャラクターのステージだとわかった。だから、そのような道にできるだけ早く適応することが重要だ」

TOYOTA GAZOO Racing WRTのトヨタGRヤリス・ラリー1(左が勝田貴元車、右はエルフィン・エバンス車) 2022年WRC第13戦ラリージャパン

■ロバンペラ「他のラリーとは異なるアプローチが必要かもしれない」

 トップと0.6秒差の総合5番手につけたロバンペラは、「かなり面白いラリーになりそうだ。我々にとって非常に重要なラリーですし、誰にとってもエキサイティングで新しいラリーですので、今日走ることができたのは良かった」とコメント。

「最初のステージは暗闇の中で行われ、起伏があって丘状になっているところや、かなり難易度の高い区間があり、非常にトリッキーだった。シェイクダウンもこのSS1も他とは大きく異なるが、事前に日本でテストをすることができなかったので、今朝のシェイクダウンは新しいセットアップやラリーに有効なアイテムを試す非常に重要な機会になった。ステージの路面はかなり滑りやすいため、他のラリーとは異なるアプローチが必要かもしれない」

 総合6番手で初日を終えたエバンスは、「とても難しいスタートになった」とラリー初日を振り返った。

「今晩の最初のステージは、とても難しいスタートになった。シェイクダウンですでに走っていた道だったが、SS1は逆走だったので、同じコーナリングラインで走ることはできなかった」

「シェイクダウンは日本で初めて走るチャンスだったので、朝からいろいろなことを試し、最終的にいいフィーリングを掴むことができた。ラリージャパンのようなヨーロッパから遠く離れたイベントでは、そのラリーを代表するコンディションの道でテストをすることが難しいため、推測してセットアップを行い、週末にそれを進化させていかなければならない」

 チームを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は2010年以来、12年ぶりの開催が実現した今回のラリージャパンについて、次のように語っている。

「ラリージャパンが開幕し、とてもうれしく思う。日本に到着してから素晴らしい歓迎を受け、多くの熱心なラリーファンがこのイベントを楽しみにしてくれていることを感じている」

「今回のラリージャパンは、道幅の狭いステージが続く、非常にチャレンジングな一戦になりそうだ。今晩のステージでは、我々の全ドライバーが良いパフォーマンスを示し、タイム差もあまりつかなかった。セブ(セバスチャン・オジエ)はシェイクダウンの時点ですでに自信を持っていたが、最初のステージでも速さを示してくれた」

「今日はいいスタートを切ることができたし、ドライバーにとっても週末に向けて自信を深める機会になった。事前のテストが禁じられている状況で何キロか走れたのは良かったですし、今回のラリーでもっともハードなステージが続くと思われる明日のデイ2に、リラックスして臨むことができるはずだ」

整備を受けるトヨタGRヤリス・ラリー1(TOYOTA GAZOO Racing WRT)
カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第13戦ラリージャパン

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