和歌山県と東京大学が9日、県の地域課題解決や人材育成などを目的に、包括連携協定を結んだ。来年度から学生が県内を訪問して現地実習し、課題解決に向けた提案をするプログラムを予定している。
東大によると、包括連携協定を結んだ都道府県は、三重県、福島県に次いで3県目。連携内容は、和歌山県を中心とした文化や歴史、自然の究明、課題解決に向けた学術研究推進、人材交流と育成など。
具体的な取り組みは協議中だが、まずは学生の「フィールドスタディ」(現地実習)から始めるという。県が「和歌山県で一番問題になっていること」を挙げ、取り組む場所にふさわしい市町村を設定。希望した学生が来年5~6月ごろから、そのテーマについてオンライン会議などで勉強した上で、夏休みに1週間程度訪問。翌年3月までに県に何らかの提案をするという。
協定締結式は県庁であり、仁坂吉伸知事とオンラインで結んだ東京大学の藤井輝夫総長が協定書に署名した。
藤井総長は「フィールドスタディ」について「教室の中の学びにとどまらず、地域社会など現場に身を置いてこそ、学生は学んだことを生かし、さらに学ぶべきことを発見できる。今回の協定を機に和歌山県との連携を深めたい」。仁坂知事は「『紀州学』の研究ベースを和歌山県につくろうと思っていたところ、協力するという話を頂いた。人文、社会科学、歴史、自然などの研究や発表について、良い成果が期待できる」と話した。