南極250キロ 7日で走破に挑戦 倉敷の貝畑さん レース「笑顔で」

仲間からの寄せ書きを眺める貝畑さん

 市民ランナーの貝畑和子さん(69)=倉敷市=が、南極約250キロを7日間かけて走破するレース「ラストデザート」に初めて挑戦する。25日のスタートに向け13日には岡山を出発する予定。調整に励んできた貝畑さんは「ペンギンのいる風景を楽しみながら、笑顔で走りたい」と意気込む。

 レースは、民間団体「レーシング・ザ・プラネット」が世界各国で主催する大会の最難関コース。モンゴル・ゴビ砂漠、チリ・アタカマ砂漠、ナミビア・ナミブ砂漠のうち2カ所以上を完走した人が参加できる。貝畑さんは2006年に「ゴビ」の女性の部、19年に「ナミブ」の60代女性の部でそれぞれ優勝し出場資格を得た。

 気温マイナス20度という極寒の中、防水性の高いパーカーなどを重ね着し、防水シューズで雪や氷の上を1日平均30~50キロ走り、7日間の合計タイムと距離で競う。25日から12月1日まで行われ、食事は保温ポットとフリーズドライ食品を持参し自分で用意する。船で寝泊まりするが1泊はテントを使うため、防寒具が欠かせない。

 約20カ国・地域から42人が出場する予定。日本からは6人で、県内では貝畑さんのみという。レースに備え、鬼ノ城(総社市)でのトレイルランニング、06年に自身が設立した視覚障害者と伴走者でつくるランニングクラブ「ももたろうパートナーズ」の活動で体作りをしている。

 ランニング仲間からもらった寄せ書きとともに13日、岡山を出発。羽田空港経由でアルゼンチン入りし、同国最南端の港町から民間客船で南極を目指す。

 マラソンを始めたきっかけは、1983年に6歳の次男を白血病で亡くしたこと。心配した友人の誘いで翌年に走り始めた。90年からは、42.195キロを超える距離の「ウルトラマラソン」に取り組むようになった。

 2008年に大腸がんと診断されるも、抗がん剤治療をしながら走り続けた。世界で開かれる数千キロから1万キロに及ぶ長距離レースに挑み、これまでにシベリア大陸や北米大陸の横断を達成している。

 貝畑さんは「自分がどこまでできるんだろうという気持ち。人間の力を超えた大自然を走るのが待ち遠しい」と張り切っている。

南極を走破するレースに挑戦する貝畑さん

© 株式会社山陽新聞社