ラリージャパンであわやのハプニング。2日目のSS4で一般車が競技中のコースに進入。FIAと大会競技長が認める

 愛知、岐阜で開催されているWRC世界ラリー選手権第13戦フォーラムエイト・ラリージャパン2022は競技2日目、車両火災やクラッシュなどいくつかのアクシデントが発生したが、さらに重大な出来事が起きていたことが明らかになった。SS4(愛知県・設楽町)の競技中に一般車両が閉鎖されたはずの競技区間に進入して、あわやの事態になっていたのだ。

 前回の北海道から愛知、岐阜を舞台にして12年ぶりに開催されているラリージャパン。競技2日目の11月11日の走りはじめ、SS2でダニ・ソルド(Hyundai Shell Mobis World Rally Team)のマシンが炎上し、SS2とその直後のSS3が合わせてキャンセルとなった。その後、SS4ではクレイグ・ブリーン(M-Sport Ford World Rally Team)がガードレールにぶつかって中断となったタイミングで、一般車両が閉鎖されていたはずの競技区間に進入していたことが判明した。

 SS4のシュコダからWRC2に参戦しているサミ・パヤリがSS4の走行中に一般車両と遭遇。その模様は映像などでは映されなかったが、WRC ALL LIVEの映像ではそのタイミングで、同じくシュコダのWRC2マシンのエミール・リンドホルムがコース上に止まり、後続車がリンドホルムに追いつき、2台のドライバー、コドライバーが話し合う姿が映されていた。そしてその後、安全上の理由でSS4はキャンセルとなった。

 SS4のセッションキャンセル直後から、現地のカメラマンやスタッフなどから一般車両のコース進入についての情報が伝わり、「白いセダンが逆走していたらしい」「いや、白の軽トラらしい」など、真偽の不明なさまざまな情報が飛び交っていたが、海外のWEBサイトがサミ・バヤリのコメントとして一般車両に遭遇したこと、そして競技中のWRカーが一般車に遭遇した場合の驚きなどのコメントを掲載。その件についてFIA側に問い合わせたメディアに対して、FIA、そしてラリージャパンの競技長が声明を発表した。

 まずは、FIAがSS4での出来事について、以下のように説明する。

「調査中だったSS4で、ステージ安全規約についての重大な違反がありました。42号車(ブリーン/フルトン、M-Sport Ford World Rally Team)のアクシデントにより、ステージは赤旗中断。 赤旗の直後、一般車両がステージ上で特定されました。事故や怪我はありませんでしたが、この件は調査対象となりました。42号車のアクシデントによりセーフティバリア(ガードレール)が破損し、ステージの安全性が損なわれたため、(SS4と同じコースを走行する午後の)SS7はキャンセルされました。FORUM8 Rally Japanに帯同しているFIA WRCタスクフォースの代表者が金曜日の午後のステージに配備され、追加のセーフティカーがステージを走行し、主催者が最高レベルの安全を確保するのをサポートを行いました」

 このFIAの声明を受ける形で、今回のラリージャパンの大会競技長は、「SS4では、一般車両がSS内に侵入するインシデントが発生しました。本件による事故や怪我はありません。競技団は、本大会に向けて万全の安全対策を行ってまいりましたが、このような事態が起きたことを深刻に受け止め、現在、FIAとともに原因調査中です。今後の再発防止に努めます」と、コメントを発表した。

 また、SS4での一般車両の進入に合わせて、SS2での車両火災についても消火まで時間が掛かった点について海外メディアを中心として問い合わせがあり、FIAはその経緯を以下のように説明。

「07:33にがクルーが警報システムを作動。07:45にはTIV(Technical Intervention Vehicle)が現場に最初に到着して、支援と追加の消火器を提供することができました。同時に、ステージのスタート近くにいたFIAセーフティ・デレゲートがメッセージを受信し、7:52にインシデントの現場に到着しました。さらに追加で地域の消防隊が要請を受け、専門的な経験を持つ消防隊が配備されました。重大インシデントへの対応規約は、計画されたとおりの手順で実行されました」

 このSS2の件についても、大会競技長は「本日、#6(Sordo/Carrera, Hyundai Shell Mobis WRT)がSS2を走行中、車両火災が発生しました。本大会競技団は、FIAのステートメントどおりの対応にあたりました」と説明している。

 SS2でのトラブルによる車両火災はともかく、SS4では一般車両が封鎖された競技区間に進入してしまうという、あってはならないまさかの出来事が起きてしまったラリージャパン。幸い、接触はなく怪我人も出なかったことがなによりだが、タイミングが悪ければ重大な事故になりかねなかった出来事なのは事実。これからの3日目、そして最終日と無事に競技が行われることを願うばかりだ。

マシンが炎上したダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1/ヒョンデ・シェル・モビスWRT)が自ら消火活動。2022年WRC第13戦ラリージャパン

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