広島駅のホームに滑り込んできたのは人気の観光列車「エトセトラ」。
【写真を見る】観光列車エトセトラにCA&機内食… JRと航空会社がガッチリ握手 観光需要を掘り起こせ!
でも、いつもと雰囲気が違うんです。JRなのに…。
ANA 客室乗務員 大木さん
「ご案内いたします。この列車は9時32分発、観光列車エトセトラ、三原行きです」
ANAのキャビンアテンダント? お弁当もANAの機内食? 観光列車ってJRですよね?
きょうのテーマは、『観光需要を掘り起こせ! ガッチリ握手 陸と空』。ライバルが強みを持ち寄ってウィズコロナを模索します。
JR西日本 広島エリアでの新幹線など、中長距離券の運輸収入です。
コロナ禍前の2019年と比べると、ことし5月は70.6%でした。そして、直近の9月では67.0%と、人の動きが戻ってきたとはいうものの依然、厳しい状況が続いています。
一方、飛行機の利用はどうなのか。広島空港の利用客もコロナ禍前と比べて6割ほどにとどまっています。
そんな中、ライバルともいえる鉄道会社と航空会社が、「呉越同舟」のツアーを実施しました。
8日のJR広島駅。この日限定の旅行企画には定員いっぱいの80人が参加しました。
参加者
「(機内食風お弁当)楽しみです。食欲の秋なので見て楽しんで、食べて楽しみたいと思っています」
鉄道会社と航空会社がタッグを組んだ旅行企画(ツアー代金 1万3800円)は、JRの人気観光列車「エトセトラ」に三原駅まで乗車し、その後、広島空港でふだんは立ち入ることができない制限区域を見学できるというというものです。
参加者
― 楽しみは?
「もちろん、エトセトラに乗れるところですが、あとは制限区域内のふだん見られないところを見られるのは、すごく楽しみにしてきました」
ツアー企画は、ウィズコロナの旅行が徐々に定着する中、さらなる需要を掘り起こそうと職場の枠を超えて連携し、実現しました。
いわば「呉越同舟」となるミーティングを重ね、ツアーでは、▽キャビンアテンダントが列車案内をすること、▽列車内で機内食を振る舞うこと、▽懐かしい切符切りを体験できること、などを盛り込みました。
最大の売りは、空港の制限区域が見学できることです。
地上からパイロットとやり取りをするステーションコントロール室を見たり、ふだん入ることができないエリアから飛行機の離着陸を間近で見たりすることができます。
広島国際空港 山本裕也 営業企画部長
「このツアーに参加するために県外から飛行機に乗って、広島や瀬戸内・山陰に足を運んでいただく。そういうきっかけになるような商品企画に発展していけるといいと思います」
ANA 広島支店 引野里美 マネジャー
「JRとは競合している部分もあるんですが、新しい需要を拡大することで両社の利用を広げていきたいと考えております」
そして、迎えたツアー当日。ホームに入ってきた観光列車エトセトラに参加者は一斉にカメラを向けます。
ANA 客室乗務員 大木さん
「ご案内いたします。この列車は9時32分発、観光列車エトセトラ、三原行きです。9時32分発車までしばらくお待ちください」
大木さん、マイクテストもほどほどに次の準備に向かいます。
こちらでは、昔懐かしい鉄道グッズの展示に追われていました。
参加者は出発が待ちきれない様子です。
JR西日本 竹中吉博 観光開発室長
「各社が持っているアセット=強みというものを組み合わせて、お客さまに新たに価値を提供できた。ぜひ、これをですね、一過性のものではなく、次なる価値ということを追い求めて連携を深めていければというふうに思っております」
参加者たち
「(エトセトラは)いつも走っているのしか見ていなかったです。きょうは実際に自分が乗れるので楽しみで、写真をいっぱい撮ろうと思って」
「子どもが覚えているか、わからないですけど、貴重な体験をさせてあげたいなと思って」
― コロナ禍の発想の転換でしょうか。ライバルも見方にすると…。ライバルというと、ANAにとっては、JALが本来のライバルですよね。そのJALによる新たな動きもご紹介します。ファーストクラスの導入です。
ファーストクラスは、これまで羽田から札幌や沖縄などへの国内線に導入されていて、広島便は7路線目です。
日本航空 広島支店 門屋秀臣 支店長
「来年、G7を控えて、広島が内外から広く注目をされている中で世界的なホテルチェーンの開業もあって、こういう状況を踏まえて航空会社としてもより高品質なサービスの提供が必要だと判断して、広島線にファーストクラスサービスを導入することにいたしました」
優雅な空の旅とは、どんなものなのか。まずは手荷物検査から…。
貴船桃佳 記者
「普通席であれば20キロまでの重さ制限のところ、ファーストクラスでは45キロまで預けることができます」
搭乗までの時間の過ごし方も違います。
貴船桃佳 記者
「ファーストクラスの利用者は、こちらのラウンジも利用することができます」
ラウンジでゆったり過ごして、いよいよ搭乗です。
貴船桃佳 記者
「ファーストクラスは優先搭乗ができるということです。さっそく乗らせてもらおうと思います」
ゲートを通り抜け、機体に乗り込むと、すぐ目の前にファーストクラスの5席が! 座席は機体前方にあって、個室のような空間です。
大型テーブルを使っての最大の楽しみは、ファーストクラスでしか味わうことのできない機内食です。名店のシェフが月替わりで監修したメニューが提供されます。
貴船桃佳 記者
「イワシの香草焼きをいただきます。パン粉はサクサクで、イワシの身は味がしっかりついていて、とってもおいしいです」
メニューは、朝・昼・夜、そして、行きと帰りで変わる充実ぶり。広島の食材を生かしたメニューも登場する予定だということです。
日本航空 客室サービスグループ 伊藤綾香さん
「機内ではこだわりが詰まった機内食や極上の肌触りや質感の高品質な本革でしつらえたシートなど、細部までこだわったファーストクラスならではのおもてなしの空間をご堪能いただきたいと思います」
― これまでJALの広島便にはファーストクラスがなかったんですね。JALが広島便に期待している表れでしょうか。
― 第8波がやってきそうな中、交通関係の会社、旅行業界はこれまでの経験が問われることになります。ライバルが手を組む柔軟性。陸と空のライバルは、今回のツアーの経験を経て、今後、どんなタッグを組むのでしょうか?