新幹線の開業迫る福井県、西武福井店の行方は?…「にぎわいの核」知事は事業継続働きかけへ そごう・西武の売却決定

行方が注目される西武福井店=福井県福井市中央1丁目

 百貨店そごう・西武の売却が11月11日に決まり、福井県にとっては西武福井店(福井県福井市中央1丁目)の行方が焦点となる。北陸新幹線の県内開業が迫る中、福井市中心市街地のまちづくりを大きく左右する問題。杉本達治知事は「福井店はまちのにぎわいの核」として、売却先の米投資ファンド側に事業継続を働きかけていく考えを表明。専門家は、市民や地元企業を巻き込んだ運動の必要性を指摘した。

 売却予定の来年2月1日までは西武福井店を含む全国10店舗の運営に動きはないとみられるが、県内の関係者には動揺が広がっている。

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 杉本知事は11日の定例会見で、売却先に直接出向いて事業継続を働きかける可能性に言及。「(経営状況の)数字をしっかりと見て、結果を重視するのではないか」とし、福井店と連携した販促キャンペーンなどの協力を続けていく姿勢を強調した。

 福井県立大学地域経済研究所の杉山友城准教授は「特に米の投資ファンドは、投機的に物件を安く買って高く売るのが一般的な考え方。地域のにぎわいは関係なしに再売却ということも考えられる」と指摘。福井店が立地するのは新幹線延伸に向けたまちづくりの重要エリアだとした上で、「静観するのではなく、市民、行政、地元企業も含めて、売却先の意思決定に影響を与えるような運動をしていくべきだ」と強調する。

 福井駅前商店街振興組合の加藤幹夫理事長は「新幹線延伸に向けて複数の再開発計画が進む中、撤退となったら駅周辺の活性化に大きな痛手」と危惧する。福井駅西口周辺に建設される再開発ビルに入るマンションの購買層は百貨店の利用者と重なるとして「マンションの売れ行きにも影響が出るのでは」と不安視。「将来的に百貨店を維持するための受け皿会社のようなものを考える時期が来るかもしれない」と話した。

 中心市街地の活性化に取り組む一般社団法人エキマエモールの竹本祐司代表理事は「ピンチから新しいまちのコンテンツが生まれる可能性もある。先行きは見通せないが、時代の変化に合わせて柔軟に対応していくしかない」と見据えた。

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